京都へ一人旅。主に、公共交通機関を利用して観光しました。
京都のバスや電車、そして地下鉄は、一人旅の強い味方となります。
ただし、種類や路線が多すぎて、慣れていない旅行者には分かりづらいという難点もあります。
なので、「バス一日券」と「バス+地下鉄一日券」を利用できる範囲で、観光してみることにしました(といっても、ほとんどの有名観光地へ行けるのですが・・・)。
今回は、「バス一日券」と「バス+地下鉄一日券」の使い方と、そのフリーパスを使って回った観光地をご紹介します。
京都のバス

バスは、京都市内全域を網羅しているので、世界遺産や寺院、有名な観光地へのアクセスが比較的簡単です。
メリットは、市内に均一(大人:230円/小児120円)区間があり、費用を抑えることができること。一方、デメリットは、時間が読めないとき(道が混んだ時など)があることです。
ただ、早朝など時間帯を工夫すれば、混雑なく、移動することができました。
バスだけを利用するときにおすすめなのは、「バス一日券」です。
注意することは、利用できる会社が、 市バス と 京都バス 、そしてJR西日本バス となっていることです。
バスの種類
市バス
うすい緑のバスで、京都市内の大抵のエリアを走っています。
バス1日乗車券や、地下鉄と合わた1日乗車券も利用できます。
市内の観光に大変便利ですが、非常に路線が多く、エリアや路線によっては均一運賃対象外の場所もあります。
京都バス
茶っぽい色のバスで、市バスの次に利用する頻度が高いバスです。
特徴としては、右京区・左京区のエリアに強く、嵐山方面や岩倉方面の路線は充実しています。
また人気の鈴虫寺や苔寺へのアクセスも京都バスを利用します。
市バスと一緒に使える一日券もありますが、路線によっては対象外の場所もあるため、事前の確認が必要です。
西日本JRバス
市内を走る路線バスは2路線のみです。
京都駅から立命館大学方面を循環する路線と、京都駅と栂ノ尾間の均一区間のみ、バス一日券が利用できます。
参照:https://www.nishinihonjrbus.co.jp/route/kyoto/
3社のうち、今回の京都観光で利用したのは、市バス と 京都バス でした。
この2社だけで、有名な観光地ヘは、問題なく行くことができます。
「バス一日券」

2021年10月1日以降の発売価格は、大人700円(小児350円)となります。
バスの普通運賃の初乗りや均一運賃区間の運賃は、大人230円(小児120円)です。
交通系ICカード(ICOCAやSuicaなど)も利用できますが、4回以上乗る予定なら、断然「一日券」をおすすめします。
購入は、現金のみです。
利用範囲

バス一日券の詳細な利用可能範囲は、「京都市バス・地下鉄路線図」で確認いただけます。
市内を走るバスは、京都市内の多くの観光地にアクセスできます。
ただ、京都観光初心者の私には、路線図が複雑すぎて、よく分かりませんでした。
そんな時役立ったのが下記のサイトです。
バス停や観光地名、時間を入れると候補がでます。「乗換回数順」をクリックすると、バスだけのアクセスがある場合は、一番上に表示されます。
紙の路線図と合わせて利用すると、バス停などの位置関係が分かりやすかったです。
なお、紙の路線図は、一日券を買った時にもらえました。
買える場所
「バス一日券」を購入できるのは、以下の場所です。
- 市バス・地下鉄案内所,定期券発売所,市バス営業所,市バス車内,地下鉄駅窓口(大人券のみ) など
- 京都バス営業所,京都バス案内所,京都バス車内 など

私は、大阪国際(伊丹)空港から列車を乗り継ぎ、京都に入りました。最終目的地は、阪急電車の烏丸(からすま)駅です。
なので、バス一日券を、利用する前日に、阪急電車・烏丸駅「西改札口」にある観光案内所で購入しました。
バス車内での販売は数に限りがありますので、乗車前に購入しておくと便利だと思います。
なお、観光案内所は、改札口の外側にあります。なので、電車を利用しない場合でも立ち寄れます。
バスの乗り方

市バスや京都バスは、うしろ乗り、後払い(まえ降り)、が多いようです。
以下、私が、清水寺に行ったときに乗った207番の市バス(うしろ乗り)のようすです。
後ろから乗りました。
乗るときは、何もしなくて大丈夫です。

目的地がアナウンスされたら、ブザーを押して知らせます。そして、前方のドアから降りるときに支払います。
均一運賃区間で、最初に「バス一日券」を使う場合は、降車口近くのカード読み取り機に「バス一日券」を通します。
すると上の写真のように裏面に日付が印字されますので、2回目以降は、こちらを運転手さんに降りるときに見せるだけでOKです。
西日本JRバスを最初に利用する場合は、油性ペン等で利用日を記入して、乗務員さんに見せます。
バス一日券で回った観光地
私が、ある日、「バス一日券」で回った観光地は、以下です。
観光地
*清水寺
*野宮神社
*竹林の小径
*嵐山公園
*渡月橋
「清水寺」方面と「嵐山」方面は、全く違った方向です。
「嵐山」方面には、野宮神社・竹林の小径・嵐山公園・渡月橋、が含まれます。
「清水寺」と「嵐山」はかなり離れていますが、朝早く出発すれば、余裕で両方へ行くことができました。
清水寺

西洞院辺りのホテルに宿泊していたので、「四条西洞院」のバス停から、市バス 207系統 (清水寺・東福寺行) に乗りました。
目的地(バス停)は 清水道(きよみずみち) です。そこは、市バスと京都バスの両方が停まります。

途中、祇園や八坂神社を通っていきます。
バスの中で写真を撮った時は、全く気づきませんでした。可愛いゆるキャラ(?)が写っていました。

清水道(きよみずみち) で降りました。
後ほど示す地図上で、「清水道 A」で記されている場所です。
すぐそばにある「松原通」の坂道を上っていくと、清水寺に着きます。

清水寺は、朝6時から開門しているので、早朝の参拝がおすすめです。
名探偵コナンの工藤新一くんが蘭ちゃんに告白した場所です(←分かるかしら?^^)一度、来てみたかったのです。

10月、もう一度、清水寺に行ってみました。
前回と違い、修学旅行の学生さんやツアー客が増え、夕方はもの凄く混雑していました。でも、清水寺から見る夕日は、とても美しかったです。
早朝の清水寺の観光のようすは、こちらをどうぞ。
-
早朝の清水寺・参拝 ~静寂と清々しさを感じる旅~
続きを見る
清水寺からの帰り
ところで、来るときは大丈夫だったのですが、帰りは少し迷ってしまいました。
ちょっと、トリッキーなのです。「清水道」の北 (祇園方面) 行きの 停留所は、2カ所あります。

- 京都銀行前【祇園以北方面】:86・100・202・206
- 東山区役所前【市場通方面】:58・80・106・207

「清水道 A 」のほぼ真向かいにあるのは、「清水道 C 」です。
清水寺から祇園・四条烏丸方面へは、横断歩道を渡って左の方へ進んだところにあるバス停「清水道 B 」から、58・80・106・207のバスに乗ると、戻ることができます。
ちなみに、来たときの降りた場所(清水道のりば A )から、同じ方向へ進むバス(86や100など)に乗ると、京都駅方面へ行くことができます。
嵐山・嵯峨野

早朝に清水寺に参拝して、途中で朝食を取ってから、午前中に嵐山エリアへ移動しました。
最初の目的地は「野宮(ののみや)神社」です。
そこまで、以下のバスで行くことができます。
市バス
*11系統 (嵐山・嵯峨・山越行):三条京阪、四条河原町、四条烏丸、四条大宮、西院、広隆寺などから
*28系統(嵐山・大覚寺行):京都駅・乗り場C6から
京都バス
*62系統 (清滝行):三条京阪・乗り場Fから
*72系統・77系統:京都駅から(曜日による運航にご注意ください)
野宮神社の最寄りのバス停は、野々宮 です。

野々宮 には、市バスと京都バスの両方が停車します。
バス停からすぐのところに野宮神社への案内板があるので、迷うことはありませんでした。
野宮神社

バス停「野々宮」から徒歩10分弱。
京都・嵯峨野の竹林の中にある野宮神社は、伊勢神宮にお仕えする皇女が身を清めた神聖な場所です。
源氏物語の「賢木(さかき)の巻」の中で、その様子が美しく描写されていることでも有名です。
野宮神社を訪れると、上の写真のような、一風変わった鳥居が目に入ります。
この鳥居は「黒木(くらき)の鳥居」と呼ばれています。樹皮をはがす前の木材をそのまま使って建てた珍しいもので、日本最古の鳥居だそうです。
「黒木の鳥居」は、天照大神(あまてらすおおみかみ)に奉仕する斎王が、悪霊などにとりつかれないように建てられたもので、斎王を守ったと伝えられています。
こちらでお参りをして、次へ進みます。
竹林の小径など
「野宮神社」から「竹林の小径」→「嵐山公園」→「渡月橋」の順に歩きました。
11月後半になると、嵐山の紅葉も見頃を迎え、さらに美しい景色が広がるのでしょうね。

次回は、トロッコ列車に乗ろうと思います。
2021年秋に実際に乗ったようすは、こちらでどうぞ。
-
2021年秋・嵯峨野トロッコ列車の予約方法 ~リッチ号の座席指定もできるようになりました~
続きを見る
茶寮 八翠

最後にちょっと一息。
翠嵐(すいらん:ラグジュアリーコレクションホテル京都)の「茶寮八翠」に立ち寄ってみました。
「茶寮八翠」は、築100年を超える「八賞軒」という歴史的建造物をリノベーションしたカフェです。
厳かな門から店内への道も趣があり、ちょっと入るのに緊張してしまいました。

一度いただいてみたかった 「翡翠(ひすい)もち」
ぷるぷるの食感がクセになる甘味でした。
ガラス張りの開放的な店内やテラスから、保津川や四季によって移ろいゆく嵐山の景色を望めます。
コーヒーを飲みながら、少しゆっくりして、ホテルへ戻ります。
バス停「嵐山」

最後、渡月橋の近くにあるバス停 嵐山 から、四条烏丸方面へ戻ってきました。
午後からは人出が多くなると聞いていたので、午前中にやって来ました。
帰りも午後の早い時間にバスに乗ったので、道もそれほど混んでいませんでした。
烏丸から野々宮までは40分ほど。こんな遠くまでが230円の区間、かつ「バス一日券」の範囲なんていいですね。
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「バス+地下鉄一日券」

2回目の京都は、少し遠出をすることにしました。
バス一日券の範囲以外の場所を観光する際には、「地下鉄・バス一日券」がおすすめです。
また、バスと地下鉄を組み合わせると、移動の時間短縮もできます。
利用可能
・京都市交通局 地下鉄・市バス
・京都バス
・京阪バス
「バス+地下鉄2日券」の販売は、2021年9月30日で終了しました。
利用可能エリア
地下鉄・市バス
- 地下鉄全線(烏丸線・東西線)
- 市バス全線(均一区間外を含みます。)
京都バス
- 大原・岩倉村松・岩倉実相院・市原・大覚寺・清滝・苔寺を限度とする範囲内の路線
ただし、京都バス51号系統:比叡山線(京都駅前~比叡山頂)・京都バス90号系統:(阪急嵐山駅~西山高雄)・京都バス95号系統(大原~鞍馬)などの季節(期間限定)運行路線は除きます。
詳しくはこちら >>> 京都バスの有効区間(PDF形式, 884kB)
京阪バス
- 山科・醍醐エリア及び京都市内中心部の路線
ただし、京都比叡山線・京都比叡平線・京都松井山手線・京都交野なんば線・定期観光バス・高速バス・空港リムジンバスなど一部の路線を除きます。
詳しくはこちら >>> 京阪バスの有効区間(PDF形式, 1.90MB)
西日本JRバス
- 京都駅~栂ノ尾間の均一区間内
購入場所

「バス+地下鉄一日券」は、地下鉄の乗り場で購入できます。
「バス一日券」と同じように、開始日を自分で決められるタイプなので、前日に買っておいても大丈夫です。
大原まで
10月のある日、「バス+地下鉄一日券」を利用して、利用範囲ギリギリの大原まで行ってみました。
京都市内からバスだけでも行けますが、地下鉄とバスを利用するほうが、少し時短になります。
地下鉄の駅「国際会館駅前」で降りたら、すぐそばにあるバス停へ向かいます。
「出口1」が大原行きのバスが停まる「④のりば」に一番近いのですが、かなり階段を上ることになります。
「出口3」に繋がるところにエスカレーターがあり、道を渡れば、「④のりば」に行くことができました。
京都バス

「国際会館駅前」から「大原」まで、京都バスに乗りました。
バス停の「大原」は、終点なので、迷うことはありません。そこは、待合室のような場所になっており、お手洗いもありました。
乗り方
バスは、うしろ乗り・まえ降りで、整理券が発行されるタイプでした。

調整系統(整理券車)に乗車する場合は、必ず入口のカード読み取り機に(下の方から)カードを通してください。
このように、整理券が出るバスの場合、乗るとき、「バス+地下鉄一日券」をカード読み取り機に入れます。
入れた「バス+地下鉄一日券」は、読み取り機の上から出てきます。
point
読み取り機の上から出てこない(入れた場所から出てくる)時は、整理券を取っておき、降車時に運転手さんに調整してもらいます。
ちなみに、大原は「バス一日券」の範囲外の場所ですが、追加料金を払うことで併用できます。
国際会館駅前のバス停から「大原」までの追加料金は、330円(片道)でした。案内板にも表示されます。
大原観光

大原のバス停から徒歩15分ほどで、三千院に着きます。

紅葉には少し早い感じでした。
10月に入り、ツアーの人も多く見かけました。もう少しすると、さらに混んできそうです。

苔の庭園が有名な三千院ですが、その中に「わらべ地蔵」と呼ばれる小さなお地蔵さんたちが様々な表情で佇んでいます。
寂光院方面へ

バス停から反対方向となる寂光院方面は、観光バスが入れないほど狭い道を15分程歩くことになるので、個人旅行の方が多かったです。
上の写真の石段を上った先は、「建礼門院大原西陵(おおはらにしのみささぎ)」。平清盛の娘で安徳天皇の母だった健礼門院徳子の墓所です。

大原西陵の石段を右手に見ながら15m ほど歩くと、同じく右手に、健礼門院徳子が後半生を過ごしたお寺「寂光院」の正門があります。
10月なのに汗ばむ陽気の日だったので、歩き回っていると、けっこう汗をかきました。
しかも、石段も多いので、いい運動になります。
この寂光院が大原草生の地に建立されたのは、京都に平安京が出来る以前のこと。
聖徳太子が父用明天皇の菩提を弔うためであったと伝えられています。
平清盛の娘である建礼門院が平家滅亡後に晩年を過ごした場所でもあることから、寂光院は『平家物語』にゆかりの深い尼寺でもあります。

諸行無常の鐘(この鐘自体は江戸時代のものだそうです)。
寂光院は『平家物語』の冒頭のあの一文「祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響あり・・・」の舞台となったお寺だそうです。
鐘は無断で突いてはいけないようですが、一度、どんな音か聞いてみたいです。

本堂右手から本堂に上ると、お寺の成り立ちなど簡単な説明(5分程)を受けることができます。
そして、その本堂の左横には、「沙羅雙樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす・・・」の沙羅の木がありました。
沙羅の花は7月頃に咲き、1日で散ってしまうそうです。こちらの花も、いつか見てみたいです。

最後は、小さな森のような場所を歩きました。
規模の小さなお寺でしたが、緑が深く、歴史も感じられました。冬景色も見てみたくなりました。
ベニシアさんの世界

ところで、大原と言えば三千院や寂光院が有名ですが、個人的には、もう一つ目的がありました。
それは、ハーブ研究科のベニシアさんの世界を体感することです。
イギリス貴族のベニシアさんは、羽陽曲折の末、大原の古民家に移住しました。そこで、ハーブガーデン造りを始め、ハーブやガーデニングに関する本を執筆しています。
ベニシアさんの手作りの暮らしは、NHKのEテレでも『猫のしっぽカエルの手』で放送されていましたね。
上の写真は、寂光院からの帰り道の景色ですが、本で見た(想像していたそのままの)景色が広がっていました。
ベニシアさんの世界観がつまった本を読んでおくと、さらに楽しめます(^^)
大原のカフェ
ベニシアさんの世界を堪能した後、以前から気になっていたカフェに行ってみました。

ランチはこちらの KULM (クルム) と決めていたのですが・・・

まさかの不定期の休日に当たってしまいました(泣)。
ランチやカヌレが食べたかったなあ・・・
残念ですが、また次回に。
PICNIC
拾う神あり・・・
しょぼんとして歩いていると、大原のバス停近くの「PICNIC」のスタッフの方に声を掛けられました。

オープンしたばかりのキッチンカーだそうです。
お腹も空いていたし喉も乾いていたので、バスの出発まで、川のせせらぎと心地よい風を感じながら休憩することにしました。

パンプキンのパウンドケーキと、自家製シーズナルドリンク「えごま紫蘇ソーダ・すだち果汁いり」です。
大原は、柴漬けの産地として名高く、赤紫蘇(しそ)も有名です。
先ほどご紹介したベニシアさんも、紫蘇のジュースで暑い夏を乗り切ったそうで、レシピを紹介されていました。
私も、最後は、紫蘇ジュースで乾いた喉を癒しました。
歩き回って疲れ切った体に紫蘇ジュースが染みわたり、なんと美味しかったことか! 冬場は、温かくして飲んでもいいそうです。
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さいごに
今回は、「バス一日券」と「バス+地下鉄一日券」の使い方と、それらを使って回った場所をご紹介しました。
広い京都を巡るには、やはり公共交通機関が強い味方になりますね。
この記事が、「バス一日券」や「バス+地下鉄一日券」を使って観光される方の情報のひとつとなれば幸いです。
追記
2022年の紅葉の時季は、外国人観光客も増え、清水寺行バスのバスはかなり混雑しています(乗れないこともあり)。
なので、地下鉄も利用しながら観光されることをおすすめいたします。
こちらにも立ち寄りました。
-
秋の京都府立植物園 ~コスモスと秋バラ、そして紅葉の季節~
続きを見る
最後までご覧いただき、ありがとうございました。