5月になると、青森県津軽地方では、りんごの花が咲き始めます。
弘前「りんご公園」には、岩木山を臨む約9.7haの敷地に、80種、約2,300本のりんごが植えられています。
8月上旬から11月上旬まで、収穫体験(有料)もできるのですが、その前には、りんごの花を楽しむことができます。
桜のあとは、りんごの花を見に行こう!
今回は、様々なりんごの花を見ることができる「弘前・りんご公園」をご紹介いたします。
※記事の情報は2021年のものです。写真のサイズを修正しました。
〇〇の花のあとに咲く「りんごの花」

アニメの「赤毛のアン」のオープニングで、アンがりんごの花の下を馬車に乗って走っているシーンがあります。
子供の頃、このシーンに憧れ、いつか満開のりんごの花の下を歩いてみたいと思い、3年前に、カナダのプリンスエドワード島へ行ってきました。
しかし、その年は春が遅く、りんごの花を見ることはできませんでした。代わりに、満開のメイプルの花を見ることができました。
プリンスエドワード島では、メイプルの花の後、りんごの花が咲くようです。
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ちなみに、以前住んでいた中央アジアのキルギスでは、4月に、杏の花が咲き乱れます。そして、この杏の花が終わった後、りんごの花が咲きます。
日本では、桜の花のあとの「りんごの花」ですが、国によって少しずつ違うようです。
りんごのルーツ
ところで、キルギスにもりんごの木があるの?と思われがちですが、りんごの起源は、コーカサス山脈の北斜面、あるいは天山山脈の東および西側あたり(中央アジア)だと言われています。

実際、カザフスタンのアルマ・アタという都市の名前は「りんごの木の山」という意味です。町中には大きなりんごのオブジェがありました。
そして、天山山脈の西と言えばキルギス、シルクロードがあり交易が盛んだった場所です。
りんごは、この辺りからヨーロッパの中・北部に伝わり、多くの民族の手を経て少しずつ改良され、その気候風土に適応しながらだんだん変化発達して栽培品種となっていったと言われています。
さらに、スイス湖棲民族の遺跡から炭化した小さなリンゴが出土していることから、ヨーロッパでは紀元前2000年以前から🍎を食べていたと推定されています。
そんな「りんご」、そしてその花・・・
青森県の弘前市で、満開のりんごの花の下を歩くという夢を叶えることができました。
弘前「りんご公園」

弘前市石川から百沢まで20kmにわたり、りんご輸送基幹道路「アップル・ロード」があります。
この道路の両側にりんご園があり、特にりんごの花咲くころは、とても美しい光景が広がっています。
りんご公園までは、JR弘前駅から路線バスや、ためのぶバス に乗れば、簡単に行くことができます。
毎年、りんごの花が咲くころには、「弘前りんご花まつり」が開催されています。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年の「弘前りんご花まつり」は中止となりましたが、今年は感染防止対策を強化して2年ぶりの開催です。
期間中の週末は、キッチンカーなどの出店が多く、飲食可能エリアで様々な食べ物を食べることができたようです。
すり鉢山展望台

まずは、岩木山を一望できる「すり鉢山展望台」へ。心が洗われる素晴らしい景色です。
この日は、青森空港着陸前から、岩木山がきれいに見えていたので絶景を期待していました。が、期待以上の美しさでした。

360度絶景を楽しめます。
機内から見た岩木山です。

王林

私がいった日は「王林」がほぼ満開、「つがる」と「ふじ」が3分咲きといった感じでした。

コロンとしたピンクのつぼみ。咲くと真っ白な花になります。
りんごの花は、1カ所に5~6個のつぼみが付き、その中心から咲き始めます。なので、つぼみと花の競演が見られます。
花は5枚の花びらと16~20本の雄しべ、1本の雌しべからなっています。開花から花が散るまでの期間は10日くらいだそうです。
ところで、りんごの交配は、違う品種で行われます。王林の両親は、ゴールデン・デリシャスと印度です。
🍏ゴールデン・デリシャス×印度
清明

憧れだった満開のリンゴの木を見ながら歩く、至極のひととき。清明も満開でした。
清明というりんごの実は、蜜が入り甘味が強い品種です。
🍎ゴールデンデリシャス × ふじ
ただ、生産が少ない希少品種なので、なかなかお目にかかれません。

王林の花のつぼみと、微妙に色が違います。
真っ白ではなく、少しピンクが残っているこの状態が好きです。
ふじ

清明の親りんご「ふじ」。世界で一番生産量が多く、人気のあるりんごと言われています。
🍎国光 × デリシャス
「ふじ」の両親のもとをたどると、17世紀の初めヨーロッパからアメリカ大西洋岸への移住者が、それぞれ母国から持ち込んだものだそうです。
その「ふじ」は青森で生まれ、1962 (昭和37) 年に命名、品種登録されました。
なので、世界の「ふじ」のすべては、日本で生まれた1本の原木から穂木をとって、接ぎ木によって何代も接ぎ継がれたものだそうです。

紅玉

紅玉の花です。紅玉の木は、枝が少し赤っぽい感じです。
こちらは、アメリカ原産の品種で、現地では「ジョナサン」という名前で呼ばれています。日本には明治時代に導入されました。
紅玉は果皮が真っ赤に染まり、サイズは180~200gと小玉で、酸味が強いのが特徴です。
ちなみに、生のまま食べると甘酸っぱくて濃厚な味わいが楽しめます。紅玉も煮崩れしにくいので、アップルパイに利用されます。
よく見てみると、品種によって少しずつ花や枝葉が違うので、見ていてとても面白かったです。
金星

青森県の佐藤肇氏育成、りんご初の民間種品登録品種です。
🍏ゴールデンデリシャス×国光
このあと、もっと白くなるのかもしれませんが、ピンクの差し色が美しい花でした。
金星の実は、美しい黄金色のりんごであることから、当初は「金嶺」と命名されたようです。しかし、1972年年に品種登録される際に「金星」に改名されました。
金星は晩生種のリンゴで、収穫時期は11月初旬あたりから下旬にかけて行われます。
貯蔵性が高いようで、12月から4月頃まで出回りますが、食べ頃の旬は12月中旬から3月頃までではないでしょうか。
祝(いわい)

アメリカ産の古い品種で、両親は不明です。明治時代における青森県のりんご7大品種のひとつです。
他のりんごの花に比べて、つぼみの色が薄く、可憐なイメージでした。
りんごの花言葉は色々ありますが、そのうちの一つは「清純」。この花のイメージにぴったりだと思いました。
彩香 (さいか)

🍎あかね × 王林
彩香は、生果実に限って使用を認められています。果汁が多いタイプですが、ちょっと酸味があるりんごだそうです。
今年、探して食べてみたい品種のひとつです。
世界一

🍎デリシャス × ゴールデン・デリシャス
世界一と名前が付くほど、大きな果実がなります。でも、花の大きさは、他のりんごと同じでした。
種子親は「デリシャス」、そして花粉親は「ゴールデンデリシャス」、どんだけデリシャスな子供なのでしょうか!?
大玉品種として商品性が高く、特に輸出用としての需要があるそうです。

昨年、東京駅に設置されたりんごジュースの自動販売機で、即日完売になった幻のりんご「世界一」
今年こそは、ジュースを見つけて味わってみたいと思います。
和りんごとハチ

ところで、りんごの花は、1つの花に完全な雄しべと雌しべが同居していますが、自分の花粉(同じ品種の花粉)で受精することはできません。
安定したリンゴ生産のためには授粉を手助けする必要があります。
ちょうど、和りんごの花に、ハチがとまっていました。
このハチは「マメコバチ」。「ミツバチ」より小さなハチです。針をもっておらず、りんごの受粉の手伝いする安全で働き者のハチだそうです
一昔前は、りんごの花が咲き始めたら、総出で、りんごの花ひとつひとつに人工授粉をしたのですが、今では、訪花昆虫であるマメコバチの力を借りることもあるそうです。
花が咲くと、生産者の皆さんは人工授粉や摘花作業に忙しくなり、本格的な農作業のスタートとなります。
ホパ

🍎Malus × 'Hopa'
ホパは、赤い実となるクラブアップルです。
ヨーロッパでは、ヒメリンゴやズミのように小さな球形の果実をつけるリンゴ属植物、とくにセイヨウリンゴの野生種やエゾノコリンゴ類をクラブ・アップル (crab apple)と総称的に呼び、花木として利用が盛んである。
他のりんごの花とは全く違う花を咲かせていました。
秋には、真っ赤な果実をたわわにならせます。果実の中まで朱色で、大きさは径2.5cm程度です。

ちなみに、小さいりんごの「アルプス乙女」は50g程度ですが、「ホパ」は10g 程度だそうです。

実際には、もっといろんな種類のりんごの花が咲いていて、りんごの花好きには(そうでない方にも)おすすめの場所です。
ちょうど、りんごの花を間引く摘花作業が行われていました。せっかくのきれいな花を摘むのは・・・と思いましたが、摘花は果実の成長を促す大事な作業の一つです。
脚立に乗っての作業は大変そうでしたが、秋には美味しいりんごが収穫されるのでしょうね。
アップルパイの競演
ところで、弘前市では、1年じゅう楽しめるアップルパイの競演があります。
弘前アップルパイガイドマップ は、JR弘前駅前にある観光案内所(8:45~18:00 / 年中無休) でいただけました。
マップには何十店舗も紹介されていて、どこのアップルパイも美味しそうなのですが、旅行者だと行きにくい場所もあります。
なので、比較的アクセスが便利な場所で購入できた、アップルパイを5つご紹介したいと思います。
オークレール
JR弘前駅にあるアートホテル弘前、そのティーラウンジ「オークレール」には、青森県産「ふじ」を使ったホテルメイドのアップルパイがあります。

シャキシャキと心地よい食感の果肉の「ふじ」。果汁が極めて多く、味のバランスに優れ、甘いだけでなく適度に酸味もあるため、アップルパイに適しているそうです。
その「ふじ」を使った「オークレール」のアップルパイ、持ち帰り専用なので、弘前に行くたびにお土産に買って帰ります。
値段も手ごろで、りんごの食感もよく(今のところ)大好きなアップルパイ第1位です。

ちなみに、私の中での同率1位は、同じく「オークレール」の蜜りんごのアップルパイ。
アップルパイも美味しいのですが、飾りで乗っていたスライスりんごがとても美味しかったです。さすが密りんご。
こちらはお店でしかいただけませんが、蜜りんご本来の美味しさを感じられる、アップルパイです。
蜜りんごについては、こちらをどうぞ。
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奇跡のリンゴ

パティスリー山崎の「奇跡のリンゴアップルパイ」。
ドーミーイン弘前 に泊まった時、買いに行ってみました(徒歩圏内です)。
「奇跡のリンゴ」なので、ない場合もあるようですが、幸い手に入れることができました。
煮りんごのサクサク感と甘すぎないクリームが、とても好みの味でした。
奇跡のリンゴ
奇跡のリンゴとは、青森のリンゴ農家・木村明則さんが、絶対に不可能と言われた無農薬リンゴの栽培に成功し、「奇跡のリンゴ」として大きな話題を集めたものです。
りんごの家
りんご公園には、売店だけでなく、食事ができる場所もあります。
こちらにある「りんごの家」では、市内のいくつかのお店(タムラファーム・ノエル・かさい製菓・ゆめりんご)のアップルパイを取り扱っています。
その中から、一番ボリュームがあった「洋菓子工房ノエル」のアップルパイをいただきました。
甘さ控えめのシナモンの香りが豊かな「りんごが主役」のアップルパイで、第2回アップルパイコンテスト弘前市長賞を受賞したそうです。
りんごは「ふじ」です。
BRICK A-FACTORY
BRICK A-FACTORYは、青森市の「A-FACTORY」の2号店として、りんごを中心とした青森のお土産を取りそろえているお店です。
場所は、JR弘前駅の改札のすぐそばにあります。
弘前市の洋菓子店「ボンジュール」が監修した焼きたてアップルパイを売っています。

シナモンがかかっていないタイプなので、お子様へのお土産にもいいかもしれませんね。
アップルパイは、隣接する情報発信基地「津軽ラウンジ」でいただくこともできます。
ここで一緒に味わっていただきたいのは、生シードルです。
シードル
りんごから果汁を絞り、発酵させて作るお酒を指します。
その多くはアルコール度数9度以下で、飲みやすいお酒です。
日本では、明治時代からりんごを使ったお酒の醸造が始められ、1954年に、弘前市で初めて本格的にシードルが作られました。
海外ではシードル専用のりんごが使われることが多く、その大きさは日本の生食用のりんごに比べて小ぶりなものが多いです。
一方、日本では、ふじ・王林・紅玉・ジョナゴールドを使用しするそうです。
こちらでは、ふじ・王林・ジョナゴールドを使用した生シードルがありました。

のど越しも良くて、ジュース感覚で飲んでしまいそうです。
さいごに

JRの駅に貼られていた「りんごの花」のポスターに惹かれて、弘前にりんごの花を見に行ってきました。
ポスターと同じ景色が見られて、最高の一日となりました(^^)
東京からは、飛行機を使うと、日帰りでも十分楽しめます。
ちょうどこの頃、Twitterでりんご公園をフォローして、りんごの花の写真をアップすれば、抽選で賞品が当たるというキャンペーンを実施していました。
何気なく応募してみると・・・

当選して、りんごジュースとジャムが送られてきました (^^) うれし~。
来年は、「りんごの花まつり」の週末だけ開催されるイベントで、りんごのスィーツなどを楽しんでみたいなぁと、夢は膨らむのでした。
最後までご覧いただきありがとうございます。