aroma Chiba Japan

5月の京成バラ園・スプリングフェスティバル ~リラックス効果が期待できるバラの香り~

5月は、またお家時間が長くなりました。

少しでも明るい気分になっていただきたいと思い、今回は、5月に見頃を迎えるバラの香りに注目して、その効能や香りの種類をご紹介したいと思います。

バラの写真は、京成バラ園(5月)と山梨のバラ農場(6月)で撮ったものを利用しています。

京成バラ園

京成バラ園は、千葉県八千代市にある1,600品種ものバラを楽しむことができる施設です。

1999年3月に、ローズガーデンを中心にローズショップやレストランなど、バラをコンセプトとしたサービス施設を併せ持つ複合施設としてリニューアルしました。

バラは系統別に植栽されており、アーチやポールなどで演出されています。

例年、5月の中旬からは、10,000株ものバラが咲き誇り、6月中旬のアジサイの開花までバラの香りで包まれます。ただ、今年は開花が早いようで、5月の10日頃には、春バラが見頃を迎えています。

2021年4月23日 (金) ~ 6月13日 (日)、「スプリングフェスティバル」が開催されています。

5月・6月の通常の開園は朝9時ですが、5月4日~16日の祝・土日は「おはようローズガーデン」として、朝6時半から開いています。

6時半なら空いているだろうと思ったのですが、開園前は50人以上の列ができていました。しかし、園内は広いので、入園してしまうと蜜ではありませんでした(ただし、おばさん同士のグループは煩いので、個人のおばさんは逃げました・笑)。

 

バラの香り

香料の世界では、ジャスミン、スズラン、バラを三大花香と呼びます。

ジャスミンは「王様」、スズランは「お姫様」、そしてバラは「女王様」だそうです。

女王様といっても、孤高の女王様ではなく、他の香料と合わせると全体をよくまとめてくれる香りの女王様です。

そのバラの香りは、大きく分けて2系統があります。

一つは、ダマスク系(ヨーロッパのバラ)、もう一つは、ティー系(中国のバラ)です。

 

バラの香りについては、パヒューマリー・ケミスト (香りの科学者) ・蓬田勝之氏が書かれた『バラの香りの美学』を参照にしました。

 

ダマスク系の香り

ロサ・ダマスケナ(山梨の農園で撮影)

ダマスク系は、ヨーロッパ古代のバラとされる「ロサ・ガリカ」や「ロサ・フェニキア」を起源とする、華やかでコクのある甘い香りです。

一般的に、化粧品などのバラの香りとして知られている香りです。

ちなみに、「ロサ」とは野生のバラにつくもので、ロサ・ダマスケナ (Rosa damascena) は、「ロサ・ガリカ」と「ロサ・フェニキア」の子で、その花の大きさは手のひらに乗るくらいです。

 

『バラの香りの美学』では、ロサ・ダマスセナと表記されていますが、本稿では精油の世界で使われている「ロサ・ダマスケナ」とします。

 

バラの精油(ローズ・オットー)は、このロサ・ダマスケナから抽出されます。

精油の主な芳香成分は「シトロネロール」と「ゲラニオール」ですが、芳香成分は600種類以上にもなり、全てを理解するのが難しい精油のひとつです。

ゲラニオール

ゲラニオールは、皮膚弾力、皮膚軟化作用が期待されるため、スキンケアに向いています。

 

精油を採り出すため、一つ一つ手で摘み取ります。

精油には、朝どれ(夜明けから早朝に摘んだ花びら)が使われます。1キロの精油を得るためには、バラの花びらが約3トン必要です。

バラの花びら120枚から、わずか1滴の精油しか取れません。なので、バラの精油は希少で高価なのです。

一度花摘みに参加したのですが、急ぐと、けっこう棘で手を差してしまいました。大変な作業です。

ただ、1回(しかも30分)くらいの作業だと、バラの香りに包まれながら、とても幸福感が高かったことを記憶しています。

 

momoka
それ以来、ロサ・ダマスケナの香りを嗅ぐとこの時の光景を思い出します。

 

ところで、人間の嗅覚はとても不思議で、香りが昔の記憶と繋がることはよくあります。

ブルースト効果

特定の香りが、それに結びつく記憶や感情を呼び起こす現象を、プルースト効果と言います。

フランスの作家マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』という小説の中で、主人公がマドレーヌを紅茶に浸した際、その香りで幼少時代を思い出す場面があり、その描写が元になっています。

 

嗅覚は、五感の中で唯一「嗅細胞」や「嗅球」を介して、本能的な行動や喜怒哀楽などの感情を司る大脳辺縁系に直接つながっています。

なので、大好きなバラの香りに包まれて過ごす時間は、本能的に「喜」や「楽」を感じるのかもしません。

レダ

別名「ペインティド・ダマスク」。ダマスク系統の一季咲きのバラです。

その名の通り、白く整ったロゼット (花びらが多いの意) の花の縁に、濃いピンクの覆輪 (ふくりん) が入ります。

丸みを帯びた葉もやさしい雰囲気で、花名はギリシア神話の大神、ゼウスの母にちなみます。

 

ティー系の香り

一方、ティー系の香りは、中国原産の「ロサ・ギガンティア」という品種が祖先だそうです。

ロサ・ギガンティアは、ヨーロッパに渡り、ヨーロッパ原産のバラと交配され、それまでになかった新しい品種が次々に作り出されました。

同じく中国原産のバラの「ロサ・シネンシス」という品種が、四季咲き性をもたらしました。

この中国原産のバラの香りが、先ほどの「ロサ・ダマスケナ」の香りと大きく違うのは、香気成分の構成(香りが全く違うこと)です。

中国原産のバラには「ジメトキシメチルベンゼン」という香り成分が多く含まれているのです。

この「ジメトキシメチルベンゼン」は「ティーローズエレメント」と名付けられました。

ティーローズエレメント

ティーローズエレメントには、ラベンダーの精油より高い鎮静(リラックス)があります。

資生堂の研究では、さらに「匂いとして感じないレベルの濃度でも鎮静効果がある」ことを突き止めています。

また、いろいろな香料に混ぜることでも鎮静効果があることが分かってきました。

出典:『バラの香りの美学』pp42~pp44

 

面白いことに、精油を採り出すバラ「ロサ・ダマスケナ」には、この「ティーローズエレメント」はありません。

バラは原種の数が多く、交配の歴史も古いため、登録されているだけでも4万種以上の品種が存在するそうです。

現在は、ダマスク系とティー系のバラの交配が進み、現在のバラ(モダン・ローズ)のほとんどに、この「ティーローズエレメント」が含まれています。

 

momoka
バラの精油には含まれていないこの「ティー系」の香りは、バラ園ならでは楽しみです。

 

ティー・ローズの香りは「紅茶の缶をパカッと開けた時の香り」と言われています。

実際にティー系のバラの香りを嗅いだところ、ダージリンのような紅茶の香りが前面に出てくるのではなく、そこはかとなく紅茶の香りがするといった感じでした(個人の感想です)。

以下、京成バラ園で「TEA」と表記されていたバラやティーの香りを持つバラをいくつかをご紹介したいと思います。

クレメンティカーボネリ

花弁が多い(ロゼット咲きの)ティー・ローズです。

サーモンピンクのグラデーションが美しく、ティー・ローズのなかでも特に温かな色調です。甘いティー香がありました。

ツル. セシル ブルンネ

ツル. セシル ブルンネは、発表が1894年と歴史があるティーの香りを持つバラです。

太陽の光を浴びて白っぽくなっていますが、実物は、もっと柔らかな感じのピンクの花でした。

パット・オースティン

パット・オースチン (Pat Austin) もティーの香りを持っています(京成バラ園では、イングリッシュ・ローズに分類されていました)。

1995年にイギリスのデビッド・オースティン氏が作られたバラで、奥様の名前が付けられています。

日差しのもと、オレンジが目にまぶしく、香りだけでなく元気ももらえたバラでした。

 

 

 

京成バラ園の「香りのバラ」

ところで、京成バラ園のパンフレットには「香りのバラのRose Map」というものがあります。

バラと言っても全てが良い香りを持っているわけではないようです。園内では、特に香りが強いバラが「香りのバラ」として紹介されていました。

 

フェルゼン伯爵

エントランスから一番近い場所に咲いていた「香りのバラ」の名前は「フェルゼン伯爵」

そう!あの少女漫画「ベルサイユのばら」の登場人物をイメージしたバラがあり、そのうち「フェルゼン伯爵」が香りのバラとして紹介されていました。

 

一茎に5輪ほどの房になって咲き、気品ある紫の花色が目を引きました。強めの甘い香りがしました。

ちなみに、私が惹かれたのはこちら・・・

 

どこか控えめ、でも存在感はしっかりとある黄バラです。特に香りのバラと紹介されていませんでしたが、黄バラらしいスッキリとした香りでした。

この「ベルサイユのばら」シリーズのすぐそばにはテラスがあり、バラ園を一望できます。

 

ボレロ

ボレロ

ボレロも花弁が多いロゼッタ咲です。

香りは、フルーティですが、かすかにスパイシーも感じられました。

白くて柔らかな花びらがふんわりと重なり、繊細な印象のバラです。春の一番花は、花の中心にほんのりピンクがのっていました。

小人になって、このバラの真ん中で眠ってみたいです(^^)

 

桃香

花形が縦長で、濃い桃色の花弁を持つバラです。名前は、私のブログIDと同じ「桃香」。

作出は京成バラ園芸。こちらの園オリジナルのバラです。

香りを表現するのは難しいのですが、ティーの香りに、強い甘さと柑橘系のフレッシュさを感じました。

2009年越後国際コンクール金賞など、栄えある香りのバラ人気No.1に選ばれた経緯を持っているようです。

 

青バラの香り

ところで、青バラもたくさんありました。

青と言っても、遺伝子組み換えされたものではないので、一般的な青ではなく藤色のバラです。

 

上の写真の左が「ブルー・ムーン」で、右が「ブルー・パフューム」です。

どちらも、最初は、フレッシュかつ華やかなダマスク系の香りも感じました。しかし、嗅いでいると、ワックスのような香りが残りました。

これらのバラには、ウッディ・ハニーと呼ばれる香気成分が多く含まれているそうです。

ウッディ・ハニー

木材質および粉っぽい蜜様の匂いを想起させる香気成分

出典:『バラの香りの美学』pp104・pp114

 

四季咲き性の品種で、冬期を除く春~秋に繰り返して何度も開花します。棘が少ないという特徴を持ちます。

 

 

 

コーヒーシリーズ

バラの世界でコーヒーシリーズと言うかどうか分かりませんが、面白い名前が付いているバラを見つけました。

カフェラテ

カフェラテ

エスプレッソコーヒーとミルクが混じった、あのクリーミーな色合いを彷彿させる、とても優しい色のバラです。

見ているだけで気持ちがほっこりとしてきました。

切り花としても流通しているそうで、花もちはいいようです。

花が開いてくると、だんだん周囲の花弁は白っぽくなる、ミルラの香りを放つ品種です。

ミルラは、和名では没薬(もつやく)と呼ばれます。

日本人にはあまり馴染みがありませんが、エジプトでは古代に太陽神ラーへの薫香として正午の儀式のときに焚かれていたものです。

精油を勉強したとき、ミイラが腐らないように使った精油だと習いました。なので、ミイラの語源はこのミルラだそうです。

甘みだけでなく、やや青臭さもある独特の香りで、いわゆる典型的なバラの香りとは少し違います。その香りは、八角やハーブのアニスシードに似ていると言われています。

この香りをかぐと落ち着くという感想を持つ方が多いそうです。

なので、この花色と香りを備えたバラの名がカフェ・ラテとは、納得のいくネーミングです。

 

 

カフェオレ

カフェオレ

近くにはカフェオレもありました。グレーを帯びた薄いラベンダー色の花は、中心が茶色を帯びています。カフェオレの方が、淡い色になるようですね。

 

モカ

モカ。少し明るい色になってきました。

 

スプリングフェスティバル

京成バラ園には、バラだけでなくハーブなどの野草とコラボも楽しめます。

とても広いので、ちょっと人が多いな・・・と思ったら、少しバラから離れて、緑の中を歩くこともできます。とにかく緑が多いので、歩いているだけで気持ちがスッキリします。

※6月15日 (火)・千葉県民の日は、千葉県民の方は700円で入園できます(通常料金:大人券1,500円・シニア券1,200円)

 

バラ園を楽しむために

ところで、バラが最も香るのは、花が半開のときだそうです。そして、時間としては午前中(10時頃まで)がおすすめです。

また、色を楽しむためには、やや曇りがちな日がいいようです。

『バラの香りの美学』に、バラのかぎ方のマナーが紹介されていました。

  1. 花弁に顔を近づけ、スーッと静かに香りをかぐ
  2. 少し息を止めて、香りのイメージを思いめぐらす
  3. 花から顔を横にそらし、味わった香りを花から出す(花に息をかけない)
  4. ①から③を3回ほど繰り返して、香りを言葉にしてみる

 

バラの香りを表現するには、ハーバルグリーンやフルーティフローラルなどの専門用語があります。しかし、記事を書いていて、香りを誰かに伝えることは、本当に難しいと思いました。

普段香りを表現するとき、私は、「はちみつの香り」や「柑橘系の香り」など身近なものを思い起こすようにしています。思いつくままに言葉にしていくと、好きな香りや寛ぐ香りが、分かってくるようになりました。

ただし、バラの香りは約1,000もの香り成分で構成されており、一言では言い表せません。なので、この香り好き、ちょっと・・・という感じで楽しみました。

ちなみに、私は、柑橘系の香り (朝)、針葉樹やミントの香り (仕事中)がお気に入りでした。今回、就寝前の香りとして「ティー」が加わりました。

バラの香りを堪能したあとは、バラのソフトクリーム🌹こちらもお気に入り♪

 

さいごに

バラ園を歩いたその夜は、ティーの香り効果のおかげか、ぐっすり。よい睡眠を得ることができました。

お土産に、切り花を買ってきましたので、しばらくは家でもティーの香りを楽しめそうです。

ローズオットーというバラの精油(Rose damascena) は、心を落ち着かせよい睡眠をもたらしてくれると言われていますが、とても高価なものなので、なかなか手を出すことができません。

最近は、ネットでも簡単にお花を買えるようになりました。普段は精油を利用していますが、花が美しい季節は、生花でリラックス効果を狙いたいと思います。

最後までご覧いただきありがとうございます。

-aroma, Chiba, Japan
-, ,

© 2020 旅とアロマ Powered by AFFINGER5