湯布院の魅力のひとつに、点在する宿が、それぞれ豊富な湯量の源泉を持っていることがあります。
あえて大型ホテルを呼びこまず、各宿が個性を出し、ひとつの町を形成しているのです。
他の温泉地にありそうな歓楽街もありません。
最近では、1人でもリーズナブルに泊まれるプランも増えました。
今回は、1人でも気軽に泊まれた温かな宿、和風旅館「津江の庄」をご紹介いたします。
※記事の内容は、2021年3月中旬の情報です。
アクセス
津江の庄は、Google mapで検索すると、JR由布院駅からはとても遠く感じました。
でも、湯布院の街並みを散策しながら行くと、なんとか歩けました(もちろん、駅前からタクシーという方法もありますが)。
ただ、唯一困った点は、見つけにくい状態であったことです。
上の写真(左)は、駅方面から歩いて来たときの景色です。一方、右の写真は、通り過ぎて振り返ったときの写真です。
看板はあるのですが、緑に覆われてしまっていて、見ることができません (笑)。
最初、少し迷いました。
看板を目印に、少し奥まったところに、玄関がありました。
少し隠れ家のような宿です。
本館7部屋、離れ1棟の全8部屋だけの小さな旅館ですが、コロナ対策もしっかりしています。
ロビーに飾っていたお雛様も素敵です。
いい意味、歴史があって、とても落ち着く雰囲気でした。
部屋のようす
部屋に案内してもらって、ビックリ!
一番リーズナブルな価格の部屋を予約したのですが、この日は、2組(2人)の予約だったらしく、由布岳が見える部屋にアップグレードしてくれていました。
手前に見えるのが、離れの部屋と露天風呂付の大浴場(右の白っぽい屋根)です。
決して、高級感が漂う旅館ではありません(←失礼・笑)が、館内の至る所に生花が飾られていて、細部までの気遣いを感じます。
2間を一人で利用できる贅沢さ!
宿泊料(夕・朝食込)は、2人で泊まったときの一人分といった感じです。
冷蔵庫の上には氷水、部屋にはお茶セットが用意されていました。
近くにはコンビニなどありませんが、何の不便も感じませんでした。
温泉
コロナ以前は、女湯と男湯に分かれていたようですが、このときは、新型コロナウイルス感染症対策として、それぞれ「貸し切り家族風呂」として利用できました。
入浴時間は、原則、一度につき1時間ですが、空いていれば何度でも入れました(当時)。
- 入浴時間:15時~23時、朝6時~10時
隣の温泉が空き状態だったので、写真を撮らせてもらいました。
源泉かけ流しなので、かなり熱めのお湯です。
PH8.5の肌に優しい弱アルカリ性単純泉で、肌がすべすべになりました。
内湯と隣接している露天風呂は、若干低めの温度です。
温泉に浸かると由布岳は見えなくなりますが、空を見ながらゆっくり入っていられます。
夕食
夕食は「豊後牛ステーキ&関アジ姿造りのご当地旬彩懐石」でした。
美しい前菜、どのお料理も丁寧に作られていると感じました。
大分と言えば、関サバ・関アジ!一本釣りの関アジのお造りもついています。
関アジの身は、時間が経つと身が柔らかくなるようで、「早めに召し上がってください」と声がけされました。
関アジはもちろんおいしかったのですが、関アジに添えられていた大根の「つま」が美味しかったです。
接客係の方に、「つまを全部召し上がった方は初めてで、料理長も喜んでいました」と伝えられたのですが、ピーラーでなく、かつらむき→千切りと丁寧に作られた「つま」は、本当に美味しかったのです。
薬科大学で薬膳や漢方の勉強をしたこともあり、何かを食べるときは、必ず効能も考えます。
「つま」としていただいた大根には、アミラーゼという酵素が含まれていて、その酵素が胃もたれや胸焼けをおこしにくくする作用があります。
たくさん食べるとき、一緒に食べておくといい食材です。
「ゆふいん」という焼酎と、関サバ、そして「つま」・・・次は焼き魚・・・
余談ですが、以前「いいちこ」の三和酒類さんでインタビューさせていただいたので、いつも頼む麦焼酎は「いいちこ」でした。
(ただし、機内で飲む焼酎は、「森伊蔵」ですが・笑)
今回は、おすすめの「ゆふいん」をいただきました。
初めてのブランドでしたが、「ゆふいん」も飲みやすくて、お料理を引き立ててくれる味でした。
どのお料理も美味しくて、箸が止まりません。
特に、野菜の煮物にかけてあった餡かけの餡の味が、ドンピシャ好みの味でした。
煮物のこんにゃくにも奇麗な飾り包丁が入っていて、食感も良かったです。
豊後牛 (ぶんごぎゅう) のステーキが出てきました。
つやつやご飯も、お味噌汁も、お漬物も・・・大満足の夕食でした。
デザートで終了。
そんなにたくさん食べてはいないと思ったのですが(いや、食べてるから!・笑)、しばらく動けませんでした。
口コミで、こちらの宿をおすすめする理由のひとつに「食」がありましたが、納得!の美味しさでした。
朝の金鱗湖
朝、目を覚ますと、朝もやの中に由布岳が見えました。
朝食の時間は8時~。
少し時間がありましたので、長年の夢だった場所へ散歩に行くことにしました。
目指すは、湯けむりが上がっているあたりです。
6時過ぎ、辺りはだんだん明るくなってきました。
前日来たときも誰にも会いませんでしたが、この日の朝もひとりです。
まるで絵画に迷い込んだかのような景色を楽しみながら、キーンと冷えた空気の中歩きます。
途中、亀の井別荘のテラス辺りを通りました。私にとって、懐かしい場所です。
亀の井別荘の中谷健太郎さんは、湯布院の地域活性の立役者の一人です。
以前、中谷さんにインタビューをお願いした際、「外の方がいいでしょう」と、わざわざテラスに出てお話をしてくださいました。
東宝の映画監督を目指されていた中谷健太郎氏の演出は素晴らしく、満開の桜のもとで伺ったお話は、とても感慨深いものでした。
などと思い出に浸りながら歩いていると・・・
朝もやが立ち込める金鱗湖に到着しました。一度見てみたかった幻想的な金鱗湖の姿です。
金鱗湖は、水と温泉水が湧き出しています。
そのため、そのため1年を通して水温が13〜15度と高く、秋〜冬の冷え込んだ日の早朝には、湖面から霧が立ち上る幻想的な光景を見ることができます。
よく晴れていて、昼と夜の気温差が大きく、風がないと霧の出る確率が高いようです。
私が行ったのは3月の中旬過ぎだったので、濃い霧が出る時期ではありませんでしたが、それでも靄 (もや) 程度に白くなっていました。
「霧」と「もや」
「霧」も「もや」も、大気中の水蒸気が凝結し水滴となって浮遊し視界が悪くなる気象現象です。
同じ現象でも、気象用語では、どのぐらい見通せるかで「霧」と「もや」を区別します。
- 「霧」は見通せる距離が1km未満の状態をさします。
- 「もや」は、1km以上、10km未満の状態をさします。
つまり、「霧」は「もや」よりも視界が悪いということです。
正確にいうと「もや」でもなく、霞 (かすみ) といったところでしょうか。
ただ、「かすみ」は気象用語ではなく文学的な表現であるため、「もや」にしたいと思います。
朝食
津江の庄から金鱗湖までは、徒歩15分くらいですが、いろいろ寄り道していたので、1時間ほど散策していたようです。
すっかり体が冷えてしまいました。
朝ごはんまで少し時間があったので、温泉につかり、ほっ(^^)
8時になって朝食会場に行くと、朝食が用意されていました。
どうやら私一人のようです。
窓の外には、梅の木が見えます。もう少し早い時期だと、満開の梅を見ながら朝食をいただけるという素敵な趣向の場所です。
梅の時期を過ぎていたので、部屋には、桜の枝が飾られていました。
昨日の私の食べっぷりからでしょうか?
ごはんの盛りが大きかったです(笑)
夕食が美味しかったので朝食も期待していたのですが、期待通り美味しかったです。
特に、お味噌汁の出汁が濃く、具もたくさん入っていて・・・お代わりしてしまいました。
朝も大満足です。
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さいごに
帰りは、川沿いを歩いて次の観光地へ向かいました。上の写真は、津江の庄を出て、振り返った時のものです。
「津江の庄」は、口コミが良かったので気になっていたのですが、一番の決め手は、1人用のプランがあったことです。
選んで、本当に良かったと思いました。
徒歩で行くと駅から少し歩きますが、(お天気がいいと)湯布院の自然のなかを散策できるので、全く苦にはなりませんでした。
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初夏のころ、この近くでは蛍も見られるそうです。またいつか、戻ってきたいと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。