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飛行機が航行中に雷を受けた!その後どうなる?

2020-07-19

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「旅とアロマ」にお越しくださりありがとうございます。

飛行機は、先端部分にある気象レーダーで雲や雨を避けながら飛んでいますが、どうしても避けられない場合もあります。時には、雷を受けてしまうことも!

雷を受けても飛行を続けることはできますが、乗る予定だった飛行機が着陸前に被雷した場合はどうなるの?

今回は、搭乗予定だった飛行機が雷を受けたときの体験談をご紹介いたします。

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飛行機と雷

よく「飛行機に雷が落ちた」と言われますが、厳密にいうと、飛行機の場合は「雷に打たれた」や「雷を受けた」と言います。

地上と違って、上空では雷は上から落ちてくるとはかぎりません。そのため「雷に打たれた」や「雷を受けた」と表現されるのです。

機内では感電する?

雷を受けても、乗員や旅客は感電しません。

飛行機の胴体の素材は、機種によって異なります。

アルミ合金の場合(B777など)は、雷を受けたとしても機体の一部分の表面を流れて出ていく仕組みになっています。

一方、B787など複合素材を使っている機体では、被雷用のアルミニウム・パス(電気の通り道)によって電気を逃がしています。

主翼と尾翼などに、雷を受けにくくし、かつ受けても機体のダメージを最小限に抑えられるような 静電放電装置 (スタティック・ディスチャージャー)と呼ばれる細い針のようなものも付いています。通常20~30本(ジャンボ機は53本でした)取り付けられています。

機体に静電気が溜まると、雷を受けやすくなるだけでなく、通信装置に雑音が入りやすくなるなどの問題も発生します。この問題を防ぐために、この静電放電装置がついているのです。

機内での体験談

B767という中型機に乗務していた時、離陸後5分ほどして雷を受けた経験があります。

B767には、機体最前(右)方にギャレー(飛行機のキッチン)があり、離着陸時には、そのそばに客室乗務員が座っています。

このとき、雷は、機首に向かって右側(ギャレーがある側)の前方から後方に抜けていったようです。機内にいる人間が感電することはありませんが、座っている位置によっては、軽い衝撃(風圧)を受けることがあります。右側の一番前の乗務員席に座っていた人は、一瞬衝撃を受けたそう (ケガなし) です。

私は、飛行機の前方の左側に座っていたのですが、ボンという音を聞いて、体の左半身に激しめの風圧を受けました。落雷の予報は出ていたので、すぐに被雷したと分かりました。衝撃や風圧を受けましたが、2人共ケガなどはありません。お客様からも、異臭や体調不良等のお申し出はありませんでした。

それ以前に、私たち2人以外は、気付かなかったようです。

訓練では「被雷すると機内が白くなる」と聞いていたのですが、機内で目に見える変化はありませんでした。それでもアナウンスは必要で、状況を説明して、そのまま飛行を続けて目的地に到着しました。

以上が客室乗務員時代の体験です。

着陸前に被雷

ところで、旅客として那覇空港から羽田空港行きの便の搭乗をゲートで待っていたとき、『飛行機が着陸前に雷を受けたため整備作業に入りる』とのアナウンスが入りました。

以下は、その時の体験です。時系列でみていきます。


  • 10:50

    「到着機が雷を受け整備作業に入るため15分搭乗が遅れる」とのアナウンス


  • 11:10

    「作業に時間を要しているので30分遅れる」とのアナウンス


  • 11:30

  • 「さらに整備が必要な個所が増えたため出発が未定」とのアナウンス

乗り継ぎがある方は、この時点で、次便へ振り替えてもらっていました。

整備作業のようす

ゲートで、被雷した飛行機の整備作業が始まりました。

特殊な車を使って、なるべく飛行機に近づいて、詳しく点検しています。機内では、コンピューターに異常が発生していないかも調べるそうです。

雷を受けた後の整備作業が15分くらいで終わるわけがない・・・と思っていたら、どんどん遅延していきます。

右側の翼をチェックした後は、左側に移動して、特に翼の先端に付いているウィングレットの先を見ていました。

被雷は(飛行には影響ないとはいっても)、着陸後には、どれくらいの損傷なのかを探し出して確認、そして修理する大変な整備作業が待っているのです。

出所:JALの機内ビデオより

受けた雷が本流であるか、支流であるかによっても被害の程度は違うようですが、雷が入ったところには何か所か突いた跡があるそうです。

一方、出ていった部分は穴が開いていたり、溶けた金属の粒がたくさんついていたりするそうです。その入り口と出口を探して必要な処置をします。なので、短時間で終わる作業ではありません。

雷を受けたあとの飛行機の顔には、黒く焼け焦げた小さな跡(雷の入口)を見たことがあります(ただし、必ずしもあるわけではないようです)。そのため、雷の入口はある程度予測できても、出口となる場所を見つけつことは大変だそうです。しかも、主翼先端や、さらには垂直尾翼など高所作業が必要なところばかりです。

この日は曇りでしたが、天候が悪いと、さらに過酷な作業となるようです。

いったんラウンジへ戻り、待つことにしました。

ラウンジでは、もし便が欠航になった時のために、次便以降で空席があるかどうかを確認してもらいました。

私にはもう一つ気になることがあったからです。

運航乗務員の勤務時間

(全てのエアラインか同じ基準ではありませんが)運航乗務員には勤務の時間制限があり、規定時間を超えて乗務できない規則があります。そのため、たとえ乗務中であっても時間を超えてしまうと、運航乗務員は交代になる場合があります。

以前、同じくJAL便に乗っていた時、那覇空港が悪天候で降りられず鹿児島空港に着陸して天候の回復を待ったことがありました。待っている間、全旅客にカルカンが配られました。まだスーパーシートがあった頃です。狭い機内(ほぼ満席)でカルカンを食べながら待っていると、耳を疑うようなアナウンスが入りました。

『こちら機長の○○です。ただ今那覇空港周辺の天候回復を待っておりますが、運航乗務員には決められた勤務時間がありその時間を過ぎるため、運航乗務員は飛行機を降ります。新しい運航乗務員はただ今羽田空港より向かっております。もう暫くお待ち下さい。』

いらすとや

そのアナウンスがあるまでに2時間、さらに別の運航乗務員の皆さんが到着するまでに3時間、合計5時間、狭い機内で待ちました。カルカン一個で…。

安全のために決められたことなので、仕方がありません。

しかし、機内は、クレームの嵐になってしまいました。

しかも、クレームを受けるのは、交代要員も出してもらえない客室乗務員、特に責任者の方でした。

同情してしまいました (泣)。

こんな体験があったので、遅延が長引いている間、運航乗務員の勤務時間が気になっていたのです。なお、この時点で、ラウンジには欠航のお知らせは入っていないいようでした。しかし、何があるか分かりませんので、次便以降の空席だけ確認してもらいました。

JALの公式サイトで運行状況を確認しましたが、最新の情報はすぐには出ませんでした。なので、スタッフの方に相談するのが一番ですね。

被雷を受けた904便


  • 12:00


ラウンジでは、欠航するかどうかは不明でしたが、こんなメールが届いていました。

そのうち、公式サイトの「欠航・遅延情報」も以下のように変わりました。


  • 12:45

    ラウンジスタッフに再確認すると、904便の旅客はすべて次便 (906便) に振り替えとなり、906便は30分の遅延設定と案内されました。

    この時点で、906便の出発予定時刻になっていますが、振り替え作業に時間がかかっているようです。

  • 13:00

    ラウンジ内に、904便の欠航、全員906便に振り替えのアナウンスが入りました。

    何人か呼び出しがかかっていましたので、振り替えをご存じない方がいらっしゃったようです。

結果、雷を受けた影響により、904便は欠航になってしまいました。

スタッフの方が、『ラウンジには情報が入ってこない』と仰っていました。そんな中、ラウンジのスタッフの方は、できる範囲で一生懸命対応してくれます。

私は、時間的余裕があったので、もう一本遅い 910便 (14:05発) に振り替えてもらいました。次の906便 (12:45発予定) は満席近い客況が予想されたからです。幸い、910便の普通席には160席ほどの空席があり、結果、ゆったり帰ることができました。

私自身、このときは余裕がありましたが、乗り継ぎがある場合はかなり焦っていいたかもしれません。

旅先では何があるか分かりませんね。

振替 906便はどうなったか?

本来なら、906便の出発は12時15分ですが、新しい出発時刻は12時45分。しかし、910便 (14:05) の搭乗時、まだ906便はターミナルにいました。

その後、結局1時間39分の遅れで出発したようです。

たとえ満席でなくても、1機分の旅客の座席をアサインし直し、預け入れ荷物を移動させ、離陸時のバランス計算をし直し・・・と、追加の作業はたくさんあるので、大幅遅延は仕方がないですね。でも、本来906便だったお客様にとっては迷惑な話ですが・・・。

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さいごに

今回は、あまり説明されない飛行機が飛来したときの体験談をご紹介いたしました。

何百回と飛行機に乗っていますが、実際に被雷した経験は1回のみ、乗る予定だった飛行機に影響が出たのもこのときが初めてでした。

航行中(多くは離陸・着陸中)雷を受けると、その飛行機は着陸後に長時間の整備作業に入り、被害が大きく修復に時間がかかると判断されると機材が変わります。基地の空港(日本だと羽田や成田など)だと代替の飛行機がある場合は、飛行機自体が変わり(ship changeと言います)だけで済むこともあります。しかし、那覇空港のような地方の空港では代わりの飛行機がないので、欠航した便の旅客は次便への振り替えとなりました。

次便への振り替え作業には時間がかかりますので、乗り継ぎがある場合は、早めに次便への振り替えを申し出た方がいいようです。

ちょっとびっくりしましたが、またひとつ知識を増やすことができました。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。

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