JALグループは、2023年4月12日搭乗分より、国内線運賃制度を変更します。
「先得」や「特便」に導入されていた予測残席数のシステムが「普通運賃」にも導入され、国内線運賃の名称や各種取り扱いも変更されます。
実質値上がりしていますが、おトクになる点もあります。
・往復旅程なら5%OFF
・小児割引・障がい者割引・介護帰省割引は各種運賃よりディスカウント
・直行便の就航がない区間や複数便を乗り継ぐ旅程でも、運賃のラインナップが充実
今回は、JAL公式サイト 新しくなった国内線運賃のご紹介 ! をもとに、JALの国内線の運賃がどのように変わるのか見ていきたいと思います。
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国内線の新運賃制度
JALは、新運賃のポイントとして、以下の3つを掲げています。
- シンプルでわかりやすい運賃ラインナップ
- おトクな割引制度
- 使いやすいマイル「特典航空券PLUS」の導入
今回は、有償の航空券だけに注目して、①シンプルで分かりやすい運賃ラインナップと、②おトクな割引制度、をみていきます。
シンプルでわかりやすい運賃ラインナップ
今まで9つあった主要運賃は、新運賃制度では、「フレックス」・「セイバー」・「スペシャルセイバー」の3つに集約されます。
割り引き率が最も高かった「ウルトラ先得」は、搭乗日の28日前まで購入できる「スペシャルセイバー」となります。
また、搭乗日の21日まで購入できた「特便割引21」は「セイバー」のカテゴリーとなります。
「大人普通運賃」という基準の運賃の概念がなくなり、当日に購入できる運賃は「フレックス」となります。CMなどでも聞きなれた「先得」が無くなるのは残念な気がしますが、国際線航空券のカテゴリーと似ているので、違和感はありません。
予測残席数と連動した運賃設定
※国内線の航空券は、330日前から購入できます。
新運賃制度の運賃の特徴は、「予測残席数」によって変動することです。
「予測残席数」とは、予約時点における便や搭乗クラスごとの最終的な混み具合の予測値です。予約時の便の空席状況とは異なります。便ごとの予測残席数に応じて、同じ運賃であっても予約するタイミングや人数によりその額が変動します。
つまり、予約時に「予約残席数」が多いほど、旧制度・ウルトラ先得のような安い運賃種別が設定されるのです。
ディスカウント方式
新運賃制度では、上記で示した3つのカテゴリーそれぞれに、割引が付くディスカウント方式が採用されます。
割引には、「往復割引」、「小児割引」、「障がい者割引」、そして「介護帰省割引」があります。
往復割引
例えば、往復の旅程を同時に予約する場合、「往復セイバー運賃」が適応されます。
往路と復路で「フレックス」「セイバー」「スペシャルセイバー」のどの運賃の組み合わせても、5%の割引となります。
往復割引は、(かなり前ですが)あったものなので、違和感はありません。
ただ、上の図の「特便+先得」の運賃額と「セイバー+スペシャルセイバー」が同じ額でない場合、5%引きが、必ずしも安くなるとは言えません。
実際の運賃
利用者が気になるのは「スペシャルセイバー」や「セイバー」の中身 "値段" ではないでしょうか。
2023年5月とある日の運賃を見てみました。
「往復セイバー」というカテゴリーができていて、一番安くなっていました。
しかし、全体的に、以前「ウルトラ先得」で出ていた "安い” と感じる運賃ではなく、かなり値上がりしています。
しかし、大型キャンペーンや安い運賃もでます。
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その他の割引
2023年4月11日までは、小児普通運賃・障がい者割引・介護帰省割引がありましたが、特便や先得などでは小児割引はありませんでした。
一方、新運賃体系では、全ての運賃(フレックス・セイバー・スペシャルセイバー・往復セイバー)から割り引く「ディスカウント方式」が導入されます。
対象運賃
フレックス、セイバー、スペシャルセイバー、往復セイバー
「往復セイバー」からも割引されます。
割引率
・小児割引:各種運賃より25%割引(株主割引、特定路線離島割引は50%割引)
・障がい者割引:各種運賃より20%割引
・介護帰省割引:各種運賃より10%割引
税抜運賃からの割引率となります。端数処理の結果記載とおりの割引率にならない場合があります。
詳しくはこちら >>> 国内線運賃制度変更に伴う各種取り扱い
乗り継ぎ
新運賃制度では、おトクな乗継運賃が設定されます。
これまで、国内線では "1フライト(区間)=1旅程" が原則でしたので、乗り継ぐ場合は、区間ごとの運賃がそのまま加算されていました。
一方、新運賃制度では、乗り継ぎ回数や便数に関わらず、「出発地」から「最終目的地」までが1つの旅程となります。
これは、乗り継ぎをされる方には朗報です。小児割引などの各種割引と組み合わせることもできます。これにより、直行便の就航がない区間においても、利用できる運賃のラインナップを増やし、直行便と同程度の価格を設定するそうです。
しかし、喜んでばかりいられません。
旅程内の一部の便を取り消し、変更、追加する場合も、新たな出発地から目的地までの旅程であらためて空席照会のうえ、再予約となります。(新たな旅程の空席照会時に満席の場合は、当該便が変更前と同じ便であっても、もとのご予約を利用した変更を行うことはできません。)
乗継運賃の拡充
これは、果たして、シンプルで分かりやすいものなのか?
反対に、厳しくなるものもあります。
航空券の購入期限
〔2023年4月11日搭乗分まで〕予約日を含めて3日以内だった航空券の購入期限は、下記のように変更されます。
購入期限よりも、各運賃で定める予約期限が短くなる場合は、各運賃で定める予約期限が購入期限となります。
〔2023年4月12日以降搭乗分から〕
新運賃制度では、予約日時などにより24時間以内~72時間以内の3段階に分かれます。
予約時間 | 購入期限 |
---|---|
出発120時間より前まで | 予約後72時間以内 |
出発120時間前から72時間より前まで | 予約後48時間以内 |
出発72時間前から20分より前まで | 予約後24時間*以内 |
- 予約後24時間以内に便が出発する場合は、出発20分前までが購入期限となります。
- 消費税・旅客施設使用料を除いた金額に適用されます。
ただ、公式サイトで予約するときは「購入期限」が表示されるので、細かな部分を覚える必要はありません。時間帯の表示方法に変わったのでちょっとトリッキーですが、出発120時間(5日)より前だと、購入期限は、3日(72時間)となります。
なお、未購入の予約内容を変更する場合は、予約をすべて取り消しのうえ、改めて新規で予約することになります。
シンプルで分かりやすい・・・?
変更に伴う各種取り扱い
各種(新)運賃の詳細をまとめてみました。
フレックス | セイバー | スペシャルセイバー | 往復セイバー | |
---|---|---|---|---|
適用旅程 | 片道/往復 | 片道/往復 | 片道/往復 | 往復のみ |
予約変更 | 可 | 不可 | 不可 | 不可 |
予約期限 | 搭乗日当日 | 搭乗日 1/3/7/21日前 | 搭乗日 28/45/55/75日前 | 搭乗日 1/3/7/21/28/45 /55/75日前 |
取消手数料 (出発前) | なし | あり: 運賃額の 約5%相当額 | 約5%相当額: (55日以上前) 約50%相当額: (上記以降) | 運賃額の 約50%相当額 |
(出発後) | 運賃額の 約20%相当額 | 100% | 100% | 100% |
小児・障がい者 介護帰省割引 | あり | あり | あり | あり |
※ 全ての運賃において、払戻手数料は廃止されます。
※ 払い戻しの有効期限は、航空券の有効期間内および有効期間満了日の翌日から起算して30日以内になりました。
取消手数料は、「セイバー」が出発時刻まで5%、「スペシャルセイバー」は55日前までが5%、それ以降出発時刻までが50%となります。往復セイバーは出発時刻まで一律50%です。いずれも、出発後は、運賃額100%の取消手数料がかかります。
これまでは「特便」が出発時刻まで5%、出発後90%、「先得」が54日前から出発時刻まで50%、出発後が90%でした。
なので、フレックス以外のカテゴリーで出発後の払い戻しがなくなってしまったのは、残念です。
当日アップグレード
JAL国内線には「クラスJ 」 と 「ファーストクラス」 という上位クラスがあります(設定がない便もあります)。当日に空席があれば、それぞれ、普通席に数千円の追加料金でアップグレードできます。
旧運賃では、距離(路線)に関係なく一律料金だったので、利用者にとっては、とても嬉しい運賃制度でした。
普通大人運賃では、(私は)決して乗れない、国際線機材のクラスJ 。
この機材にあたると、当日に空席があれば、普通席の運賃(先得・特便でもOK)に+1,000円で羽田から那覇まで横になって行くことができる時代もありました。
国内線だけど国際線!?海外旅行気分になれる JAL国際線仕様機材・搭乗記
さらに、普通席運賃(先得・特便でもOK)に一定の追加料金を支払うと、国内線のファーストクラスに乗ることもできました。
しかし、新運賃では、ここにメスが入りました。
これまで、クラスJ/ファーストクラス運賃は普通席運賃を基準に全路線共通で一定額を加算して設定していましたが、今後は普通席運賃を基準とするのではなく、クラスJ/ファーストクラス運賃をそれぞれ個別に設定します。
これに伴い、クラスJ/ファーストクラス運賃と普通席運賃の価格差は全路線共通の一定額ではなく、路線ごとに距離などに応じて異なるようになります。
PRTIMES
新運賃の設定イメージ
新運賃制度では、普通席運賃を基準とするのではなく、「クラスJ運賃」、「ファーストクラス運賃」をそれぞれに設定します。
これにより、普通席とクラスJ 、そしてファーストクラスの運賃は、路線(距離に応じて)異なるようになります。
4月11日には 57,910円(変更可・最安値)だったファーストクラスの料金(羽田→那覇)も、フレックスになるとかなり値上がりします。
新運賃制度導入後は、クラスJ とファーストクラスだけが満席で普通席はガラガラといった現象も減るのでしょうか。
ちなみに、この新運賃に先駆け、2022年4月15日搭乗分から、ファーストクラスやクラスJ へのアップグレード運賃も値上げとなっています。
区間 | ファーストクラス | クラスJ |
---|---|---|
東京―大阪 | 10,000円 | 2,000円 |
東京―福岡 | 10,000円 | 2,000円 |
東京―札幌 | 10,000円 | 2,000円 |
東京ー沖縄(那覇) | 12,000円 | 3,000円 |
大阪ー沖縄(那覇) | 10,000円 | 2,000円 |
大阪―福岡 | ー | 1,000円 |
さらに、クラスJとファーストクラスの当日アップグレード料金は、2023年4月12日搭乗分以降、いずれも10%以上引き上げとなりました。
例えば、東京ー大阪は2,200円、東京ー那覇の場合は3,300円となります。
しかし、現在、当日便出発の3時間前に、JAL WebサイトやJALアプリより申し込むことができるようになりました。
- 詳しくはこちら >>> 当日アップグレード
FLY ON ポイント
ところで、運賃や利便性の他に、もうひとつ気になることがありました。
それは、JALのスタイタス会員を目指すために必要な、FLY ON ポイント(FOP)の加算についてです。
新運賃制度では、以下のように変わります。
2023年4月12日以降搭乗分
運賃種別 | 搭乗ボーナス FOP |
---|---|
フレックス・JALカード割引 ビジネスフレックス・離島割引 特定路線離島割引・株主割引 | 400ポイント |
セイバー・スペシャルセイバー・往復セイバー | 200ポイント |
プロモーション・スカイメイト・当日シニア割引 特典航空券・個人包括旅行運賃・包括旅行運賃など | 0ポイント |
今までは格安チケット「先得」には、搭乗ボーナスFOP は付きませんでしたが、「スペシャルセイバー」に変わると、200ポイント付きます。
しかし、今まで「特割」付いていた400ポイントは、「セイバー」になることで、200FOPと半減してしまいます(出所: https://www.jal.co.jp/jp/ja/jalmile/flyon/guide.html)
さらに、利用運賃カテゴリーは、以下のように変わります。
利用運賃カテゴリー | 該当運賃 |
---|---|
運賃1(100%) | フレックス、JALカード割引、ビジネスフレックス、離島割引、特定路線離島割引 |
運賃4(75%) | 株主割引 |
運賃5(75%) | セイバー、往復セイバー |
運賃7(75%) | スペシャルセイバー |
運賃8(50%) | パッケージツアーに適用される個人包括旅行運賃など |
運賃9(50%) | プロモーション、当日シニア割引、スカイメイト |
これは、ますます、ステイタス維持が遠のくということなのでしょうか ( ノД`)
オープンチケットの廃止
新運賃制度では、オープンチケットも廃止となります。
オープンチケットとは、搭乗区間のみを指定し、搭乗便の予約をしない航空券を指します。
なので、JALの国内線航空券は、必ず予約と紐付けされるということになります。
JAL Webサイト操作における変更点
公式サイトの新運賃制度の記事を隅から隅まで読んでいると、ときどき朗報も見つかります。
2023年4月11日搭乗分まで | 2023年4月12日以降搭乗分 | |
---|---|---|
座席指定状況確認 | 予約完了後にのみ可 | 空席照会結果画面で閲覧可 |
今は、予約をしないと空席がどのくらいあるか知ることができません。
なので、いつも Seat Alerts を使っていました。
無料アプリ「Seat Alerts」の使い方 ~事前に空席が分かれば希望の席も狙いやすい!?~
しかし、2023年4月12日搭乗分からは、空席照会結果画面で、座席指定状況(予約クラス以外も)を確認することができるようです。
利用者から見るとガッカリポイントが多い新運賃制度(会社としては合理的な改善)ですが、ゆっくり見ていくと、便利になることがもっと見つかるかもしれません(あくまで、希望的観測ですが)。
スマイルキャンペーン
2023年4月12日からの新運賃は値上がりしていますが、ときどき大型キャンペーンもあるようです(ANAに追随した感じで)
2023年最初は、スマイルキャンペーンが発表されました。
詳細
〔販売期間〕2023年3月31日(金)00:00~4月1日(土)23:59
〔搭乗期間〕2023年4月22日(土)~4月28日(金)
※5・6月ご搭乗分については別途案内されました。
※小児割引はさらに25% OFF 片道4,950円!!小児割引:各種運賃より25%割引(株主割引、特定路線離島割引は50%割引)
ただし、空港によっては空港施設利用料がかかりますので、必ずしも6,600円となるとは限りません。ちなみに、「東京・羽田」ー「沖縄・那覇」の片道運賃は、6,600円+370円(羽田)+240円(那覇)=7,210円になります。
なお、上でもご紹介いたしましたが、キャンペーンの運賃は「運賃9(50%)プロモーション」となるので、FOPはかなり少なくなります。
仮想待合室
再開するスマイルキャンペーンの特徴は、「仮想待合室」を設置することです。
ディズニーなど、いくつかのテーマパークでは、チケット販売日のアクセス集中を避けるために導入されている仕組みです。
先日販売開始された「ワーナーブラザーズ・スタジオツアー東京」でも、仮想待合室が導入されていました。
【公式】ワーナーブラザース・スタジオツアー東京
予約サイトに入ると(アクセスが集中しているとき)は、仮想待合室では、上の写真のような順番待ち画面(待ち時間と待っている人数)が出ます。その後、自分の順番になると、自動的に予約画面へ進めるというものです。
上の写真はあくまでも「ワーナーブラザース・スタジオツアー東京」のものですが、JALの予約サイトも同じような仕組みになるのではと、予想しています。
詳細はこちら >>> 仮想待合室について(公式JAL)
なお、順番に関してメールでの通知機能があるそうです。仮想待合室画面にて表示されるメールアドレスの入力BOXにて、設定ください。
なお、自分の順番が回ってきたとき(有効期限は10分)に対応しないと順番は無効となり、再度順番待ちに並ばなくてはなりませんので、お気を付けください。
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さいごに
JALの新運賃制度は、今までの「大人普通運賃」という基準をなくし、「フレックス」に変えることで、全ての運賃に変動制が導入されます。
ただし、利用者は、表示された運賃を見ながら(上がったなぁと思いながら)選ぶしかないのでしょうね。あとは、キャンペーンをうまく利用しておトクに旅行できるといいな、と思っています。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。