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台湾の歴史、民族、地質、鉱物などに関する展示がある「国立台湾博物館」。本館と土銀展示館(古生物館)、南門園、そして鉄道部パークの4つから構成されています。今回は、台北駅から徒歩圏内にある本館と古生物館の2か所を見学してきました。実際に見て感じた「国立台湾博物館」の見どころをご紹介したいと思います。
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アクセス


上の左の写真の奥に見えているのが国立台湾博物館(本館)です。
台北駅(台北車站)からは、三越が入っているビルを左に見ながら館前路をまっすぐ南下すると建物の正面に着きます。信号待ちなどがあっても10分あれば歩いて行ける距離です。

館前路をまっすぐ歩いてきて台北駅方向を振り返った時の写真です。
向こうに、三越が入っている高層ビルが見えますね。
MRT

国立台湾博物館は、二二八和平公園の中にあります。
MRTを利用した場合、台大医院(NTU Hospital)駅で下車、出口4からは徒歩3分くらいです。MRTの駅を出て右側に曲がり公園に入るとすぐです。入口は公園側ではなく襄陽路側にあります。
バス

最寄りのバス停は「博物館(館前)」や「博物館(襄陽)」があります。
どのアクセス方法もGoogleマップで簡単に検索できますので、ご自身の便利な方法で来ることができるのもおすすめのポイントです。
本館

ちょうど修復工事中でした。
アイボリーのルネッサンス時期の建物(ギリシアドリス様式)で、台湾で最も歴史のある博物館です。
国立台湾博物館は、日本統治時代の1908年、基隆と高雄(当時は打狗)を結ぶ縦貫線が全線開通したことを記念して「台湾総督府博物館」として開館しました。
台湾の動物・草花、台湾に住む人々など、台湾そのものを知ることができる博物館です。適度な広さの館内に豊富な資料、かなり見ごたえのある博物館です。現在の建物は1915年に完成したもので、設計は野村一郎氏、台湾総督官邸(臺北賓館)の設計に携わった人物です。

建物は東西方向に一文字になっており、ローマ風のドーム式屋根が特徴です。建物の中央部分は鋼筋コンクリート造で、両側の部分は煉瓦造と鉄筋コンクリート造の混合構造で、銅瓦葺きの木造屋根となっています。正面には、ギリシア神殿を思わせる太い柱と植物の彫刻がほどこされたペディメント(屋根の上にある三角形の構造物)があります。

中央ロビーは記念儀式のためのデザインで、高さ約10m、32フィート、直径約80㎝もある32本の柱に囲まれています。
中央一階のロビーの床材は赤坂(現・岐阜県南)の黒大理石と水戸の白寒水石が使われており、真中にはモザイクタイルがあります。
創設に関わった日本の児玉家と後藤家の家紋を組み合わせた図案が、一階の主要階段の柱の土台にも装飾として彫刻されているそうです。

ローマドーム式の天井には高さ約16.5mのステンドグラスが設けられています。

細部まで美しい博物館の内部です。
ほんの少しですが、動画で雰囲気をお楽しみください(広告なし)。
ロビーに立つと、東京・上野の国立科学博物館を思い出してしまいました。実際に比べると全く違いますが、雰囲気は似ている気がします。
チケット
入口の右側にチケット売り場があります。
入場料はなんと30台湾ドル(約150円)。カウンターのスタッフの中には、日本語が堪能な方もいらっしゃいました。日本語のリーフレットや日本語対応の音声ガイドもありますので、読みながらじっくり鑑賞できますね。
本館には、常設展と特別展があります。
まずは、入って左側にある特別展を見て回ることにしました。
特別展

期間限定の特別展は「傀儡(くぐつ)」でした。
傀儡とは、芝居などに用いられる操り人形のことで、世界各国のさまざまな傀儡が紹介されていました。
インドネシアの影絵が大好きなのですが、その人形も大きく紹介されていました。

実際に操ることができる人形も置かれていました。
楽しい劇の紹介だけでなく、国によっては政治的に利用された背景もあるようで、かなり興味深い展示となっていました。
階段と回廊


特別展のコーナーを出たところに階段とエレベーターがありました。3階まで上って、そこから見ながら下がってこようと思います。
ちなみに、2階の回廊は台湾産の白い大理石と黒い粘板岩を使用し、腰板(壁の下の部分)は美濃赤坂の更紗大理石です。また、手すり柱は黄銅と、建物内を見るだけでも楽しい博物館です。
台湾新発見
3階は、21世紀になってから初めて設置された常設展示コーナーがあります。
博物館が「台湾総督府博物館」として創立された20世紀初頭にさかのぼり、博物館収蔵の基礎と博物学の発見や学者、その調査の伝統を「発見の道」、「台湾新象」「過去的未来」に分けて紹介しています。

第一部の「発見の道」は、20世紀初頭の植物学者の調査に焦点を当てています。台湾原住民の研究に生涯を捧げた人類学者の森丑之助(もり うしのすけ)氏と有名な採集家の菊池米太郎(きくち よねたろう)氏による収蔵や実地調査が展示されていました。

第二部の「台湾新象」では、初代館長であった日本の植物学者・川上瀧弥(かわかみ たきや)氏が指導・調査した台湾の高山植物や台湾の昆虫研究の創始者である素木得一(しらき とくいち)氏が発見した台湾固有種の「フトオアゲハ」、そして1970年代に台湾化石大発見として掘り出された「早坂サイ」など、貴重な発見が並んでいます。展示されている動植物の標本の中には100年前に作られたものもあるそうです。
驚いたのは、台湾の研究の基礎となった部分に多くの日本人が関わっていたこと。そして、現在でも、その記録や功績がきちんと残されて展示されていることに感動しました。

台湾を代表する黒熊と雲豹が仲良く座ってます。彼らと一緒に、しばしビデオを鑑賞しました。
最後の「過去的未来」と名付けられた第三部は、博物館が持つ3つの標本を元に、未来の展望を示すコーナーです。
神霊の世界

今日に伝えられてきた台湾の先住民族と漢民族の超自然信仰の世界を通じ、台湾の人々の神霊世界の一画を明らかにするコーナーです。
「諸神の黄昏」では、台湾龍山寺がこれまでに引き取った「無主神像」が飾られていました。

特に惹かれたのがこちら。美しい姿ですよね。
時代の刻印

時間を縦軸、文物を横軸として、各時代のストーリーを繋いでいるコーナーです。
ここでは、国立台湾博物館の収蔵品の中から最も重要かつ特色のある歴史的文物を16点展示してあります。


興味深かったのがこちら。
日清戦争の終了後、清国は台湾を日本に割譲しますが、その際、日本の統治に反対する勢力によって台湾民主国が樹立されます。結局は約5ヶ月で崩壊してしまうのですが、その時に作られたのが、この虎が描かれた国旗です。実物は日本側に戦利品として持ち運ばれ、皇居にある保存施設に保管されたそうです。この旗は、1909年に複製されものとか。
2012年に修復作業が行われたのですが、その時初めてこの旗がリバーシブルになっていることが分かったそうです。よく見ると、虎の目の模様が違いますね。今では「国宝」として扱われているそうです。

古い絵画も、拡大して見られ、さらに説明も読むことができます。
展示物の中には日本語の説明もあるので、パンフレットなどと合わせると、日本の博物館を周っている感覚で見学できます。
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古生物館

こちらの建物は、1946年に日本勧業銀行が台湾における支社として設立した「台湾土地銀行」です。

台南にも「台湾土地銀行」はありますが、こちらの建物も美しい。

先ほど購入したチケットで、こちらの博物館も見学できます。

入口には木製のロッカーがあり、様々な押し花が飾られています。使用料は10台湾ドルですが、使用後にお金は戻ってきます。


重厚な金庫の入口。

圧巻だった恐竜の骨格展示。
今にも動き出しそうです。こちらでは、見るだけでなく体験することもできます。

そばにある刷毛(はけ)で化石をなぞってみます。

すると、骨が出てきました。
大人でも楽しめるとても面白いしかけでした。
詳細
・本館&土銀展示館(古生物館) 9:30~17:00
・休業日 月曜旧暦の大晦日と元日
・クレジットカード 不可
・料金 大人 TWD30、学生 TWD15
・ホームページ www.ntm.gov.tw (中国語、英語、日本語)
※2025年7月現在。
二二八平和公園
ところで、国立台湾博物館がある二二八和平公園は、1908年の日本統治時代に建設されました。 すでに100年以上の歴史がある公園です。 総面積は71,520㎡で、東京ドームがすっぽり入ってもまだ余るくらいの広さだそうです。

緑豊かな公園で、国立台湾博物館の入口のすぐそばに月桃の花が咲いていました。初めて黄色い花を見ることができ、かなりテンションが上がりました。月桃の香りは、爽やか、そしてちょっとスパイシーな香りです。優しい樟脳(しょうのう) のような感じもしました。
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さいごに
台湾へは何十回も来ており、台湾縦断だけでなくいろいろな場所で出かけた経験があるのですが、知っているようで知らなかった台湾。歴史だけでなく地理や植物について再発見できる場所でした。楽しかったです^^
最後までご覧いただきありがとうございます。