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ロザリオ礼拝堂を体感!マティス-自由なフォルム-で色彩の魔術師の足跡をたどる旅へ

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「旅とアロマ」にお越しくださり、ありがとうございます。

国立新美術館で開催されている『マティス 自由なフォルム』展に行ってきました。アンリ・マティスの原点から集大成まで色彩の魔術師が遺した美の足跡をたどる旅のような展覧会。その一部をご紹介いたします。

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マティス 自由なフォルム

  • 場所:国立新美術館
  • 会期:2024年2月14日(水) ~ 2024年5月27日(月)
  • 休館日:毎週火曜日休館 ※ただし4月30日(火)は開館
  • 開館時間:10:00~18:00※毎週金・土曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで) 

開催期間が長いので、まだ間に合います。チケットは日時指定ではないので、買っておいて好きな時に行くことができます。

アンリ・マティス

巨匠、アンリ・マティス(1869-1954)は、自然に忠実な色彩から解放された大胆な表現が特徴の20世紀美術を代表するフランスの画家です。

今回の展覧会では、マティスの初期の作品から彫像、デッサンといったありとあらゆるマティスを見ることができます。

ところで、マティスはパリで頭角を現しますが、終の棲家としたのは南仏の街ニースです。ニースのアトリエではさまざまなモデルやオブジェを精力的に描く一方で、「切り紙絵」にも取り組むようになりました。

1940年代初めに大病を患ったマティスですが、体への負担を軽くするために使った表現方法が、ハサミで切り抜いた様々な色と形の紙を組み合わせて作る「切り紙絵」だったと説明されることもあります。

20世紀の新しいアート

人間を人間らしく、風景を切り取ったかのようにそのまま描くことを「写実主義」といいます。絵画の伝統的なルールを破ったとされる印象派の画家(モネなど)でさえこの枠を壊しませんでした。しかし、19世紀末から20世紀になると、その「写実」というルールを放棄して「心のままに描く」画家が登場します。

自分の心が感じる「ほんとう」を表現するとき、色や形の表現に工夫を加えていく、そこのとが20世紀の画家が発見したことでした。

評論家に「自分の奥さんの顔を公開処刑するつもりか!」と酷評されたマティスもその一人で、会場では奥さんの姿を心が見たままに表現した ≪マティス夫人の肖像≫ も展示されていました。

しかし、マティスも最初から心のままに描いていたわけではありません。マティスの初期の作品もたくさん展示されており、その足跡をたどりながら切り紙絵に至った過程も体感することができます。まるで分厚いマティス大辞典を1枚ずつワクワクしながら広げて見ていくかのような世界がひろがっていました。

より楽しむために

マティスにあまり詳しくない・・・

そういった方におすすめなのが、展覧会の見どころだけでなくマティスの作品や背景を集約したガイドブックです。私は展覧会開場で購入しましたが、事前に読んでいくとより楽しめると思います。

展覧会の見どころ

「マティス 自由なフォルム」展では、ニースにあるマティス美術館やパリにある オルセー美術館 の所蔵作品を中心に、約150点もの期待以上の展示品がならんでいます。

なかでも切り紙絵の代表的作例である《ブルー・ヌードⅣ》や、日本初公開の大作《花と果実》は、フランスでの修復を経た鮮やかな色を感じることができるので必見です。

ブルー・ヌードⅣ

アンリ・マティス《ブルー・ヌード IV》
1952年
切り紙絵、103 × 74 cm
オルセー美術館蔵
(ニース市マティス美術館寄託)

ハサミを使った切り絵によるこの作品は、裸婦が頭の上に手をやり膝を立てて座るポーズを取っています。「ブルー・ヌード」には構図が異なる4種類の作品がありますが、この《ブルー・ヌード IV》は、タイトル通り最後に発表されたものです。しかし、着手されたのは最初で、完成したのが4番目だったそうです。

うっすらと下描きの線が残っています。

完成した作品にあえて下描きの線を残したのは、完成までのマティスの思考を鑑賞者にも味わって欲しかったからなのでしょうか。

花と果実

アンリ・マティス《花と果実》
1952-1953年
切り紙絵、410 × 870 cm
ニース市マティス美術館蔵

4×8mもの大作《花と果実》は、本展のために修復を経て初来日しました。

切り紙絵の大作《花と果実》は、今まで2回しか貸し出されなかったというニース市にあるマティス美術館のシンボルです。

しかし、本作品は展示ケースの気密性が低く、埃をかぶっていたうえ、紙魚(しみ)という虫が侵入し、作品の表面の紙が食べられ痛んでいました。2021年に始まった大規模修復、その様子の一部は一般公開されていたそうです。

マティス美術館のメインホールに飾られていた切り紙絵の大作《花と果実》を日本で見られることの嬉しさ。しかも、修復された姿を見ることができるのです!

自由なフォルム

展覧会の前半は、絵画やデッサン、彫像などが並んでおり撮影禁止です。

こちらの「自由なフォルム」セクションから写真撮影が可能となっていました。

晩年に精力的に取り組んだ「切り紙絵」や集大成の礼拝堂装飾に焦点をあてた作品の数々でマティスの芸術の極致を堪能できる作りになっています。

マティスはデッサンを繰り返し、ようやく線を決めて色を塗ろうとすると、新しい線が頭に浮かんでしまい、形が決まらないことに長年悩んでいました。しかし色紙をハサミで切ると、色彩と同時に形を作り出すことができます。(出所:『マティス 自由なフォルム  完全ガイドブック』)

切り紙絵は、病を患った後に生まれた手法ですが、同時にマティスの悩みを解決しながら生まれた手法でもあったのでしょうね。

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ロザリオ礼拝堂

見どころはたくさんあるのですが、最後には、マティスの晩年の集大成として知られている建築の作品「ロザリオ礼拝堂」の再現がありました。

アンリ・マティス《ステンドグラス「生命の木」のための習作》
1950年ステンドグラス
62.3 × 91.5 × 2 cm、
ニース市マティス美術館蔵

「生命の木」と名付けられた大きなステンドグラス。簡素な礼拝堂を彩る作品です。

この建物の特徴は、南仏で感じる太陽の光を取り入れるための重要な役割をになっているそうです。「マティス 自由なフォルム」展でも、その一端を感じることができる素敵な仕掛けがありました。

大きなステンドグラスを通して入ってくる光(太陽光ではありませんが)が床や壁を色鮮やかに染めています。

ニース郊外のヴァンスに建つロザリオ礼拝堂は、最晩年のマティスが切り紙絵を応用し、建築の室内装飾や司祭服をデザインした、マティス芸術の集大成です。こちらでは、展示室内にこの礼拝堂を体感できる空間を再現しています。

展示室内は暗くなったり明るくなったりして、日中の太陽の動きに合わせて刻々と変化していく内部のようすも体験できるのです。これは見事な仕掛けでした。

実際の礼拝堂も簡素なつくりなのですが、そのステンドグラスから通して入って来る光が美しく、まるで光の宝石箱のような場所です。これを展示会で再び体感できるなんて!

マティスを知る

ところで、マティスに関しておすすめしたい本があります。

それは、有名な画家にまつわる物語が収録されている『シヴェルニーの食卓』という短編集です。 

その中に、マティスの晩年の姿を垣間見ることができる『美しい墓』という作品があります。ニースのアトリエに若くして仕えることになった家政婦マリアの視点を通してのマティスが書かれているのですが、史実とフィクションがうまく交じり合っており、マティスの作品以外で知ることができた気がしました。

お土産

今回もお家でマティスを感じられるグッズを買ってきました。

卓上カレンダーは4月始まりとなっているので、これから1年間使えます。自分の好きな絵とカレンダーを組み合わせることもできる面白いつくりとなっています。

気になったのが、出口のそばにあったガチャガチャ。

今回は見送りましたが、何が出るか挑戦してみてもよかったかな。

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さいごに

国立新美術館で開催されている「マティス 自由なフォルム」に行ってきました。

平日だったので適度な混雑具合で、少し待てばゆっくり鑑賞できる余裕がありました。絵画などの作品を見るだけでも満足感が高い展覧会でしたが、最後の「ロザリオ礼拝堂」では実際に行ったかのような時の移り変わりを感じることができ、さらに満足度が高まりました。まるで、短時間でフランス旅行をした気分になれる「マティス 自由なフォルム」、おすすめです。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。

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