UAE

見ごたえ十分!ルーブル・アブダビ訪問記

2019-09-23

2017年にアブダビに開館した「LOUVRE ABU DHABI(ルーブル・アブダビ)」に行ってきました。

期間限定ですが、「ルーブル」と名前が付いている美術館は、本家フランス以外は、こちらの実です。

今回は、ルーブル・アブダビへの行き方や、展示物をご紹介いたします。

※ 本記事は2019年に行ったときの情報を元にしていますので、情報の一つとして見ていただけますと幸いです。

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ルーブル・アブダビ

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ルーブル・アブダビは、空港から車で30分ほどのサディヤット島にあります。特徴的なその建物は、建築家ジャン・ヌーヴェルによるものです。

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エメラルドブルーの海に囲まれた、白亜の美術館。網目状のドームが特徴的です。

イスラム教では偶像崇拝を固く禁じているため、モスクの装飾には幾何学模様かアラブ文字をデザイン化したものが使われています。ルーブル・アブダビにも、ステンレススチールとアルミニウムの三角形、四角形、八角形などの幾何模様で造らたドームがあります。その網目からは、木洩れ日のような光が差し込んで、とても美しかったです。

期間限定~30年間~

ルーヴル・アブダビには、30年間「ルーヴル」という名称を使いながら、恒久的なひとつの美術館を築き上げるという壮大な計画があります。

(私が行った当時)ルーヴル・アブダビには、政府間の合意により、フランス美術館局の株主機関であるフランスの国立美術館(ルーヴル美術館、オルセー美術館、ポンピドゥー・センター、ヴェルサイユ宮殿、ギメ美術館、ケ・ブランラリー美術館、フランス国立図書館、ロダン美術館)の様々なコレクションから作品が貸し出されていると書かれていました。

フランスとアブダビの間での文化の美術という財産を分かち合うこと、教育的な使命、国立という大きさ、文化の波及。そのようなユニバーサル美術館の基盤がここにはあるそうです。

展示方法

常設展は11のギャラリーに分かれています。

他の美術館との違いはその展示方法。彫刻、道具、壺など、異なる国や地域からの類似作品が、時代ごと、もしくはテーマごとに展示され、見学者が12,000年に及ぶ人類の文化史の流れに沿って見られる仕掛けになっていました。

アプリの解説

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Museum Galleries

「App Store」か「GooglePlay」で「Multimedia Guide | Louvre Abu Dhabi」をダウンロードすると、アプリ内の「Museum Galleries」で解説(英語音声)を聞くことができました。

作品の写真もあるので、行く前や帰国後も楽しめます。

※ダウンロードはご自身の責任でお願いいたします。

内部のようす

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入場料を支払って展示室に進む前に、クロークルームなどがあります。

ただ、私が見学したときリュックを背負っていましたが、そのまま入ることができました。

ここにあるパンプレット(残念ながら日本語はなし)は是非もらっておきましょう。

さて、いよいよ展示室へ!

The Great Vestibule

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第1ギャラリーには、紀元前8世紀~紀元前4世紀エジプトの「息子のホルスに乳を与えるエジプトの女神イシス」などが展示され、床には、世界各都市の地名が各言語で書かれていました。

First Human Settlement

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First Human settlement(最初の人間住居) でひときわ目をひく展示物は、6,500BC、ヨルダンのものです。

用途は不明ですが、6,500BCという遥か昔に作られたことにビックリ!そして、それが残っていることに2度ビックリ!!

説明書によると、石膏でできていて、目の部分は「bitumen(瀝青:れきせい)」という石油産地で発見された原油の変質物アスファルトだそうです。

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紀元前10,000年頃の集落から始まり、ヨルダン、中央アジア、中米などからの展示品が並べられていました。

そばにあるモニターは、年代を追って、人々が住む地域が広がっていった様子を見ることができます。

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日本もありました。縄文土器ですね。

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ルーブル・アブダビが持つ「教育的使命」の意味が理解できました。

点字(言語は確認できませんでした)や実際に触れるミニチュアの模型があり、世界中のいろいろな人が楽しめるようになっています。

※もちろん本物の展示物は触れることができません。

通常の美術館は、国ごとによる展示方法なので、世界的な繋がりは良くわかりません。しかし、ここでは時代やテーマによって分かれているので、同年代に各地域でどんなことが起こっていたのかを見ることができました。

The First Great Powers

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The First Great Powers (最初の巨大権力)では、太古の権力として思い浮かべるのがエジプト。紀元前950年頃の貴重な棺やミイラも展示もされています。

ここでは、最初の文明国家があったチグリス・ユーフラテス(今のイラク+周辺)、ナイル(エジプト)、インダス(今のインドと周辺国)や黄河(中国)からの出土品も並んでいました。

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ラガシュ(Lagash)の王子「グデア(Gudea)」の像(2,120BC頃、)

イラクからの出土品で黒石で作られています。ラガシュは古代メソポタミアの都市国家です。王子グデアは、やがて王となって周辺諸国と通商協定を結んで交易を拡大し、シュメール文化を開花させた人物だそうです。

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グデアの像の後ろにあった「船に乗った埋葬人形」。

1,850BC頃のもので、釉薬を用いた陶器だそうです。精巧さだけでなく、状態の良さにも目を奪われました。

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「ペルシャの射手(510BC)」は、イランのスーサ(Susa)で発見されたタイルの像です。

一枚一枚が異なる色や絵で構成されています。

色が鮮明に残っているのにビックリ! 今回見た中で一番番好きな作品です。

Universal Religions

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Universal Religions (世界の宗教) では、単に像が並べられているのではなく、インドと中国の像の違いに関する説明があり、実物が並べられています。

2つの像の違い

  • ヘアスタイル:中国の方がつぶつぶが小さく2段頭
  • :インドは太くて、中国は細い
  • :インドは肉厚、中国は薄い
  • 手のサイズ:インドはやや大きく、中国は小さめ
  • 素材:インドは赤砂岩、中国は白い大理石

今まであまり意識せずに見ていたので、目からうろこの展示方法でした。

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シヴァ神(AD950-1000)。シヴァは踊りの神様です。

歴史の授業で 「破壊の神」と習った気がします。しかし、彼の踊り(宇宙のリズム)は世界を滅ぼし、さらに再生へと導いていくのだそうです。なので、破壊だけではないようです。

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シヴァのことを良く思わない仙人達が、シヴァをやっつけようとして悪魔を放ったら、そいつを踏みつけて踊っている様子だそうです。

シバ神の足元、踏みつけられているのは悪魔なんですね。

The World in Perspective

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ジャック= ルイ ダヴィット作『アルプス越えをするナポレオン(1803)』

ある部屋には、今まで見たことがない、1690年頃に描かれた地図が展示されていました。

Young Emir Studying

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ルーブル・アブダビの入場券には、館内にある作品が印刷されています。私の入場券は、「Young Emir Studying (勉強中の若い王族)」。若き日の Osman Hamdi Bey (オスマンハムデイベイ) です。.

オスマンハムデイベイ(1842年~1910年)は、 オスマン帝国の王族であり、かつ先駆的な画家、考古学者としても知られた人です。 イスタンブール考古学博物館やイスタンブール美術アカデミー の創設者でもあるそうです。

この作品が展示されているのは「ギャラリー10」とリーフレットには書かれていました。しかし、残念ながら作品の入れ替え中だったので入ることができませんでした。いつか出会いたいです!

カフェ

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ルーブル・アブダビには、レストランや屋外カフェもあります。さすがに屋外は暑すぎて誰もいませんでしたが。

屋内のギフトショップの入り口付近にあった移動カフェ。こちらでアイスクリームも売っていると、他の方のブログで拝見したのですが、スタッフがおらず・・・。こちらも次回の楽しみにしたいと思います(^^)

開館時間・入場料

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詳細

・土-水:10:00~20:00

・木・金:10:00~22:00

・休館日:月曜日

・入場料:63AED(大人)18歳以下は無料

  • 最新情報は、ルーブル・アブダビの公式サイト でお確かめください。

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さいごに

展示作品はそんなに多くありません(却ってちょうどいいくらいかも)。絵画より彫刻や出土品などの方が多かった気がします。

しかし、「この時代には、他の国でこのような作品が作られていたんだ!こんな時代だったんだ!」と世界の流れを理解しながら鑑賞できるので、作品鑑賞だけでない楽しみがありました。

このように展示することで、多文化に対しての「尊敬や好奇心」を促しているそうです。美術館好きな方なら半日はいられそう。さらにじっくり見るために、2日券があればいいな、と思いました。

とても空いている(これから混んでいってしまうのかしら?)のもおすすめの点です。アブダビだけに行くには航空券が高いので、ヨーロッパへの経由時に立ち寄るとお得だと思います(エティハド航空では、ANAマイル・PPも貯まりました)。

とてもおすすめの美術館です。

最後までご覧いただきありがとうございます。

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