2015年に中央アジアにあるキルギス共和国(以下、キルギス)に住んでいました。あまり知られていない国ですが、自然が多く、異国情緒たっぷりの場所です。今回は、そんなキルギスについてのお話です。よろしければ、お付き合いください。
キルギスでの仕事
派遣中、月曜日から金曜日の朝8時から西日が射してくるまで事務所で働いていました。夜間に出歩くのは禁止されていたため、日が暮れる前に帰ります。
事務所では、地元の人々が商社(のようなもの)を運営していけるよう実地訓練を兼ねて働いていました。私の仕事は、彼らに「モノを売るとはどんなことか」といった経営管理の知識をアドバイスすることでした。
90%事務所でのPC作業や商品管理なのですが、ときどき生産者のお宅を訪問する仕事に連れて行ってもらいました。中でも一番嬉しかったのが養蜂家訪問です。養蜂家と言っても、自然の蜂を追いかけ、花が咲いている場所に巣箱を置くので、ハニーハンターに近いのかもしれません。
養蜂家に会いに行く
養蜂家に会いに行く途中の道。このときはジャガイモと菜の花が満開でした。
初めてジャガイモの花を見ました。
ジャガイモの収穫は夏の終わりごろです。
養蜂家取材
スタッフはこんな格好をして、はちみつ🍯を採っている様子を確認します。案の定、一人が刺されました。アナフィラキシーショックが頭を横切りましたが、問題ななかったようです。
でも心配で、すぐに事務所に連絡しました。日本人会社員の鉄則「ホウ・レン・ソウ」(笑)。でも「彼は去年も刺されたから大丈夫」との返事。労災なんて言葉がない国です。
キルギスでは、🍯を集めるのに蜜蝋(みつろう)を使います。蜜蝋とは、ミツバチが体から分泌するロウ(ワックス)で、蜂の巣を作るための材料です。
ワックスの板は、木でできた箱にはいっています。外からみつばちが箱に入っているのが見えるでしょうか。
中はこんな感じになっています。
養蜂家はそのワックスの板を遠心分離器(のようなもの)にかけ、 🍯を収集します。
日本では、何の花のはちみつか明確なものが多いですが、ココでは自然に咲いている花々の蜜が集められるので、必ずしも1種類とは限りません。「百花蜂蜜」と言われているモノですね。
試食タイム
養蜂家のようすを見られるのも貴重な体験なのですが、一番嬉しかったのが試食タイムです。
採れたての🍯を頂けました。こんな贅沢ほかでは味わえません。
優しい甘さだけが口の中に広がります。ここで食べた🍯は一生の思い出となりました。
注意
1 歳未満の赤ちゃんがハチミツを食べることによって乳児ボツリヌス症にかかることがあります。1歳未満の赤ちゃんには与えないようにしましょう。ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。
エスパルセットの花
話は変わりますが、キルギスの6月のうち2週間ほど、郊外にある畑がピンクに染まる場所があります。それは、マメ科のエスパルセットの花畑です。
とても栄養価が高い植物なので、毎年種を蒔いて育て、羊や牛の飼料にします。ビタミン ( 特にカロチン ) やミネラルを豊富に含んでいるので、土を肥やす自然肥料にもなり、フランスでは healthy hay(健全な干し草) とも呼ばれています。
本来の目的が肥料なので、こんなにきれいな花ですが咲いた後2週間ほどで刈り取られてしまいます。なので、花が咲いている間にみつばちが集めた蜜が貴重なのです。
ブドウ糖の豊富なエスパルセットの花の蜜は、1カ月結晶化させることで、美しい「ホワイトハニー」になります。でも他の花の蜜が混じっていると白になりません。エスパルセットだけの花の蜜を集めることでできる逸品なのです。
普通のハチミツと比べるとその白さが一目瞭然!味は、日本の甘味・和三盆のような優しい感じです。少しざらざらした舌ざわりのあるオリジナルからクリーミーなモノまでいくつか種類があります。
なぜ白いの?
この白さは、マメ科のエスパルセットという単一の花の蜜によるものです。さらに、結晶の小さにも起因します。つまり、1つの花の蜜だけを集めて、不純物を徹底的に排除し、結晶化させることで、クリームの様な白いハチミツとなるのです。
でも、1つの花だけの蜜を集めるのは大変!なので、実際に結晶化させてみて、真白になるかどうかは、ある種のカケもあるのです。キルギスでは、自然に飛んでいる蜂の力を借りて蜜を集めているから・・・
このキルギスのホワイトハニーは、カザフスタンの世界はちみつ品評会で金賞を獲るほどの逸品です。
日本に輸入している会社はまだ少なく、最近キルギスに行っていない私にとっては、幻のハチミツになりつつあります。
我が家の在庫はあと3瓶、700ml(え!十分?・笑)
さいごに
キルギスのはちみつは、非加熱、生はちみつなので、そのままスプーンですくって食べるだけで、とても贅沢なスイーツとなります。

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