テレビ番組で、非接触で楽しめる古民家を紹介しているのを見ました。なんと、2人でも一軒家を貸し切れるのです。しかも、料金はちょっと贅沢なホテル並み。
「非接触」をキーワードにしたホテルは増えていますが、古民家だとさらにソーシャルディスタンスが高まりそうです。
他の方が書かれているような、おしゃれな古民家ステイ・・・にはなりませんでしたが、それでも楽しかった古民家ステイのようすをご紹介したいと思います。
※2020年12月の滞在記です。
非接触・古民家宿
非接触で古民家ステイを楽しめるのは、「るうふ」という、築100年ほどの古民家を改修した一棟貸しの宿です。
2020年9月に、山梨県で3棟オープンしました。今回は、そうのち、ブドウや桃畑に囲まれた「るうふ丘之家」にお邪魔しました。
非接触サービスなので、現地でもやり取りは主にiPadのチャットなどです。
コロナ禍の滞在にぴったりのコンセプトです。
初めての古民家、しかもスタッフがそばにいない滞在です。あまりにも分からないことが多くて・・・。「寛ごう」と思ったのに、却って疲れてしまいました。

初めての古民家ステイは、勝手が分からないどなたかのお宅にお邪魔した感じでした。なので、「これ初めに知っていればもっと快適に過ごせたのに・・・」と思った点を中心にご紹介したいと思います。
るうふ丘之家
「るうふ丘の家」は、坂を上がったところにある一軒家。ブドウやモモ畑の中にポツンと・・・ではなく、周囲にたくさん民家のある中の一軒でした。
公式サイトにはバスでも来られるように書かれていましたが、初めて来る際は、絶対にたどり着けない(と思います)ので、タクシーで来てよかったです。
タクシーは、事前に宿の方に予約してもらいました(LINEでのやり取りが便利でした)。
とても静かな場所にあります。
事前に到着時刻だけ聞かれましたが、鍵の受け渡しについての説明はありませんでした(聞けば教えてくれたのかもしれません)。
テレビ番組では、宿泊者が入り口に近づいたらカチッ音がして開錠されていたので、「行けば何とかのるのでは?」と深く考えていませんでした。でも、到着した後どうしたらいいのか分かりませんでした。なので、事前に確認したほうがいいかもしれませんね。
鍵の開錠について聞いておくといいでしょう。
私たちが着いたとき、宿の方(?)と思われる方が作業をしており、特に私たちを気にかけずに家に入られました。なので、鍵は開いていました。

とりあえず、開いている玄関から入りました。
出入りされていた方は、玄関にあるペレットストーブの調子が悪かったようで、チェックをしていたようです。

部屋は広く、玄関にあるペレットストーブで全体を温めるようになっています。
その操作方法については、iPadに説明があります。今回は、スタッフ(らしい)方がいらっしゃったので、口頭で操作方法を教えてもらえてよかったです。
ポイント
ペレット (燃料) は2袋あり、1袋が4時間分です。補充してから寝るようにすすめられました。
消えたら、ストーブをONにして、ペレットを追加します。5分程で、炎が見えてきました。
隣にあるファンは回しっぱなしにしておきます。
私たちは、早く就寝したので朝の4時ごろには消えてしまい、寒くて起きてしまいました。なので、次の日用に、ペレットは残しておくといいと思いました。
チェックイン
とっても広い居間。素敵なインテリアでまとめられていました。
テーブルの上にあるiPadでチェックインをします。こちらは案内に従って行えばいいので、とくに難しい点はありませんでした。
まだGoToトラベルキャンペーン中だったので、地域共通クーポンもテーブルの上にありました。ホテルだと(金券なので)受取りのサインをするのですが、そういう手順はありませんでした。

一緒にあるのは地域の温泉の無料券です。でも、どこにあるのか分からなく(調べると何キロも先にあるようで)、使いませんでした。
チェックインは、iPadを使ったビデオ通話 (テレビ電話) で行います。
まずは、そばに置いてある体温計で体温を測って、モニター越しに見せます。
その際、夕食の用意(火起こしなど)は、自分でするか、スタッフのお願いするかどうかを聞かれました。
せっかくの古民家ステイ!マスクを外してゆっくりしたかったので、自分たちでする旨を伝えました。

ちなみに、テーブルの上には古民家のカギもありました。説明がなかったので、帰るときに気づきました。自動車のドアの開閉のように、電子ロックです。
ところで、iPadでやり取りをしているとき、充電が少なくなっていることに気づきました。その旨を伝えると、「そばにあるケーブルで充電してください」と言われましたが、ケーブルが見当たりません。
結局、ケーブルはなかったので、持ってきてもらいました(よく考えたら自分のスマホのケーブルが使えたのですが・・・)
iPadの充電状況を確認する。もしくは、ケーブルがそばにあるか確認しておくといいでしょう。

部屋のようす
広い吹き抜けの玄関を上がると、広い居間があります。暖かい時期だと、窓を開放して景色を楽しめそうです。
縁側に座って、景色を少し楽しみました。
6人まで泊まれるようで、2つの部屋に、合計6枚の布団が敷かれていました。
敷布団の下に電気毛布がありました。ただし、部屋の電気 (壁にあるスイッチ) を消すと、部屋全体の電気が切れてしまいます。つまり、夜寝るときは、エアコンや電気毛布も切れてしまうのです(寒い)。
体験して分かったことなので、スタッフの方に確認することもできず「寒い寒い・・・」と朝を迎えました(電気系統の説明書はないので、操作方法は分かりませんでした)。
部屋のスイッチに関して、最初に尋ねておくといいと思います。
ちなみに、一番奥にあるのは、書斎。1年後の自分に手紙を書くアクティビティが用意されていました。
その他
玄関に、羽織るものがありました。洋服をかけられるのはこちらのハンガーだけです。
その隣にお手洗いがあります。しかし、手を拭くタオルがありませんでした。なので、洋服用のハンガーをもってきて、臨時のタオル掛けを作ってみました。

草木染
ところで、丘之家には2階があり、そこでは草木染ができます。この宿に決めたのは、この草木染のアクティビティがあったからです。
草木染の方法は、iPadに入っている説明を見ながら勝手に行います。ただ、備品の説明はありませんので、自分で探しながら行います。
左側から順に置いてあるボールやお鍋に、布を浸していくようです。

また、肝心な、染めるための布が見つかりません。iPad内の説明「草木染の方法」には、布の場所は書かれていません。
布がない。しかも、冬場の夕暮れで(手元の明かりしかないので)、見え辛い ( ノД`)シクシク…
ふと、物干しざおに吊るしてある布が目に入りました。

事前に体験された方のブログを見ていると、袋のような布で草木染をしていました。アクティビティ用の布を置き忘れたのかしら?
やっぱり、これを使うしかないのか!?と思い、吊るしてあった袋を使って草木染を始めました(正直、チャットで尋ねるのが面倒で・・・)。
2階からの景色は最高でした。本当なら、暮れ行く景色を見ながら草木染をするという素敵なアクティビティなのですが、目線はiPadの説明書です。
タオルをさがそう!
私が2階で草木染と格闘している間、夫は夕食用の火を起こしてくれていました。
そのうち、夫から「タオルがないよ~」と言われたので、一緒に探すことにしました。お風呂場に置いてあるのは(どう見ても)足ふきマットのみです。
ふと寝室、布団の上を見てみると、箱があります。
開けてみると、タオルやら歯ブラシやらパジャマやらが入っていました。

草木染用の布袋やタオルなどは、かごの中に入っています。
パジャマも入っていたのですが、小さすぎる・・・。女性用は、多分Mサイズ。大柄な私にはズボンが短く、小さすぎました(特におばさんにはお腹周りがね・笑)。
ホテルや旅館なら、フロントに行って「すみません。大きなサイズはありませんか?」と聞けるのですが、非接触ステイを選んだので、そうはいきません。
ただ(こんなこともあろうかと)パジャマを持ってきていたのが功を奏しました。
草木染の結果
季節によって材料は違うようですが、この時はブドウの枝の草木染でした(上の写真は次の日の朝に撮ったものです)。
いろいろ置いてあるので「これを使うのかしら?」と思ったのですが、どうやら木の枝葉は飾りのようです。トラップがいっぱいあった草木染体験でした。
しかも、なんかバタバタしながら染めたせいで、あまりうまく染まらなかったのが残念です。
以前、プロの指導の下で行った草木染体験ではしっかり色が入ったので、ちょっとがっかり・・・。

夕食
この宿の特におすすめしたい点は、夕食です。
ペレットストーブの修理が終わったころ、別のスタッフの方がいらっしゃいました。私は草木染と格闘していたので、夫が、夕食について、いろいろ尋ねてくれました。

キャンプなど、ほとんど経験がない2人が知恵を絞って、炭火焼の夕食に挑戦します。
こちらのキッチンは、朝食を作るときに使いました。
食べ終わった食器は、洗わずに(とはいっても水洗いだけしましたが)、シンクに置いておけばいいようです。
準備
食事は、こちらでいただきます。掘りごたつで、足元にヒーターがはいっています。
夕食の準備の前に炭に火をつけなければなりません。火をつける方法はiPadに入っています。30分くらいかかるそうです。
換気扇のスイッチは、道具が置いてあるそばの壁にありました。
慣れていれば、スイッチなどはすぐに見つけることができると思うのですが、いかんせん初めての場所。私たちは、なかなか見つけられず、チャットで質問して教えてもらいました。
冬場の炭火焼に換気は大切です。窓を開放するには寒すぎる季節、広い部屋だと言っても、換気が不十分で一酸化炭素中毒になったら怖いですものね。
ところで、居間のストーブの上には「寝る前に消してください」とメモ書きが置いてありました。しかし、他の部分には取扱いに関する注意事項はありません。なので、余計に分かりづらかったのかもしれません。
他の部分でも、「初めての使う人ならここは分からないかも?」と想像力を働かせて、テーブルなど見つけやすい場所にメモ書きの案内を置いておいてくれるといいな・・・と、非接触サービスの難しさを実感したのでした。
何かあったらチャットで質問できるのですが、あまりにも多いと、ちょっと面倒です。
冷蔵庫
冷蔵庫の中に食材がありますので、取り出して、調理していきます。
何も説明が無かったら絶対に分かりません。今回は、最初にスタッフの方が直接説明してくれたので、問題なく利用できました。そうでないと、添付のメニュを見て、食材を探さないとならないところでした。
ちなみにビール等、無料の飲み物も充実しています。これも嬉しかったです。
有料のワインなども用意されています。しかし、冷蔵庫にこの状態で保存されているので、ちょっと・・・。
食器類
ちなみに、お皿などは、この食器棚の中に入っていたのを見つけました。説明はありませんでしたが(多分)自由に使っていいのだと思います。
サランラップやアルミホイル、お箸などもありました。
炭火焼
食事はとても豪華です。海の幸山の幸が用意されています。
ただ、食材の説明がないのは、残念でした。白い丸い野菜は(食べても)結局何かは分かりませんでした。お芋やカボチャも特産品かしら?シイタケも立派なので、多分良い食材を用意してくれているのだと思います。
無事、(夫の努力により)火が起こせたので、食材を焼いていきます。
中央アジアのキルギス生活でプロジェクトリーダーから教わった「まず火の通りにくいチキンから焼く」を忠実に守り、チキン、そしてニジマスの順に焼いていきます。
ところで、チェックインの時に、夕食開始の時刻を尋ねられたのですが、とくに連絡はありませんでした(と思っていました)。
鯛の塩釜焼
鯛の塩釜焼(しかも立派なの)を作るのは初めてだったので、食事をしながらスマホで「キャンプで塩釜焼を作る方法」を探しました。時間がかかるらしいので、火起こしてすぐに火にかけました。もっと直火にした方がよかったかしら?


バタバタ煩くしていたので、チャットに連絡がきていたことには全然気が付きませんでした。
やはり、チャットだけでの対応には限界があるようです。「始めるときに連絡ください」の方がよかったかもしれません。
チキンが焼けた頃だったので、初めて挑戦する「鯛の塩釜焼」について尋ねてみました。



気を取り直して、次の食材を焼きます。
チキンのあとは、「山梨県産五味醤油の塩麹漬けリブロース」をいただきました。こちらも立派なリブロースです。とても美味しかったです。
本当に、いい食材をそろえてくれているなぁと感じました。
ところで、塩釜焼はどうなったかと言いますと・・・
案内通り1時間くらい火の上に置いておきましたが、火が弱かったらしく、うまく焼けませんでした。よく見る、表面の塩の部分がカチカチになって木づちでコン!とはいかないのです。
焼きあがるころにはお腹もいっぱいになっていたので(これ以上待てず)仕方なく、手で塩を除いて食べることにしました。

身はホクホクしていて美味しいのですが、片面は塩辛くてほとんど食べることができません。なので、下側の身だけを食べました。
結局、半分近く食べることができない状態になってしまいました(泣)。
やっぱり素人に(説明なしの)塩釜焼は難しすぎます。スタッフの方に、これだけでもお願いすればよかったです。立派なタイだっただけに、ほとんど食べられなかったのがもったいなくて、残念でした。
夕食の準備はスタッフの方にお任せしたほうがいいです。
ちなみに、スタッフの方にお任せすると、ご飯は窯焚きにしてもらえるそうです。知っていれば・・・。
自分たちで夕食の支度をする際は、炊飯器を使います。美味しそうに炊けました(と言っても炊飯器の力ですが・笑)。
ちょっと(書いてある)案内と違った点です。自力で調理する場合、夕食分のお米は炊飯器の中に入っていました。朝食分は冷蔵庫の中に入っているのを使いました。

最後はデザート。マシュマロを炙り、ポップコーンを作りました。マシュマロは炙るとトロトロになって楽しいです。
ポップコーンは、スキレットが食器棚にあったので、使ってみました。
食器棚の中には、サランラップやアルミホイルも見つけました。スキレットにアルミホイルで蓋をして、パチパチはじけるのを待ちます。

食後
最後は、炭に灰をかけて処理をしっかりします。火災は怖いですからね。
=余談=
ところで、炭と言えば、日本の飛行機には、さまざまな木炭が搭載できません。燃料用のみでなく、消臭・活性炭、浄水・炊飯など形状に関わらず全て搭載不可です。ただし、燃料用としては、紀州備長炭または名護パイン炭 (製造社のステッカーあり) のみ、国際線・国内線ともに搭載可能です。
(木炭が搭載不可の理由は)木炭には木炭粉が含まれ、また振動や摩擦により木炭粉が生まれることもあります。
木炭粉は同様に搭載不可(禁制品)となっているトナーカートリッジと類似する成分で、粉塵化する恐れがあり、粉塵爆発の要因の一つとなり得ます。
http://7rinhonpo.jp/archives/52167233.html
炭をみると、この話を思い出してしまいます(^^)
お風呂
お風呂はヒノキぶろです。でも、すごく狭いです。そして、ヒノキの香りもしません。お湯の出もいまいちだし、こちらはちょっと残念でした。これも古民家ステイならではなのでしょうか。
脱衣所は広くて、暖房器具も置いてありましたので寒くはありませんでした。ドライヤーの風力も強くて、あっという間に髪を乾かすことができました。
古民家ですが、設備の中には最新のものもあります。
まとめ
少し長くなりましたので、初めての古民家ステイの2日目のようすは、次回ご紹介したいと思います。
1日目のようすの最後に、古民家るうふに泊まるとき「滞在して分かった」点をまとめてみました。
- 場所は分かりにくいです。初めてで、かつ電車で行かれる方は、JR塩山駅からのタクシー移動をおすすめします。
- 鍵の開錠について、宿泊前に聞いておくと迷わないと思います。
- iPadの充電状況を確認する、もしくは、ケーブルがそばにあるか確認しておくといいでしょう(宿のiPadが命綱です)。
- 冬場は、部屋の設備(換気扇や電気毛布)について聞いておくと、バタバタしないかもしれません。
- 夕食の準備はスタッフの方にお任せすると、より美味しい食卓となるでしょう。
初めての古民家ステイは、分からないことが多くてちょっと疲れました。でも、コンセプトには共感できるし、なにより古民家自体が素敵でした。食いしん坊も(塩釜焼以外は)大満足の夕食もおすすめの一つです。
次回は、朝食とアクセスなどをご紹介したいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございます。