飛行機の座席は「機首に向かって前向き」が一般的でした。
しかし、最近のビジネスクラスでは、後ろ向きの座席も増えています。
さらに、エコノミークラスでも、後ろ向きの座席が発表されました。今回は、飛行機の座席のお話です。
飛行機の座席
コロナ禍での飛行機の移動の際には、中央座席を空けて、機内でもソーシャルディスタンス対策がとられていました。しかし、世界の航空会社でつくる国際航空運送協会 (IATA) が5月5日に「中央の座席を不使用とすることは支持しない」と表明しました。代わりにマスクの着用を勧告するとしています。現在、日本の航空会社でも旅客も全員マスク着用となりました。
そのなか、2020年4月20日 (現地時間) 、 新しいスタイルのエコノミークラス・座席が発表されました。発表したのは、イタリアの Aviointeriors (アビオインテリア) という会社です。飛行機の航空機の座席や内装の設計、製造を専門としている会社で、キャセイパシフィック航空やアリタリア航空、エティハド航空など40社以上の航空会社が顧客になっています。
そのAviointeriors が、新型コロナウィルス対策を想定した2種類のタイプの座席を発表 (提案) しました。
それは、Janus (ヤヌス) と グラセイフ (Glassafe) です。
Janus (ヤヌス)
http://aviointeriors.it/2020/press/janus-seat/
Janus (ヤヌス) は、横3列のうち端の2席は今までと同様に機首側を向いているのですが、中央列1列のみが後ろ向きになっています。それぞれの座席のあいだには、透明の仕切りが設けられていま
全ての乗客がプラスチックのシールドで囲まれることにより、乗客間の飛沫感染を防ぐことを目的としています。表と裏に顔を持つローマの神にちなんで ヤヌス (Janus) と命名されました。
シールドの素材はプラスチックで、ニュースリリースによれば、簡単に消毒・滅菌できるものが使われています。シールドは、半透明からダークなものまで、透け具合を選べるそうです。
座席は背もたれが倒れる構造ではなく、前にスライドしてリクライニングができるような感じでしょうか。 Aviointeriors (アビオインテリア) の公式サイトの動画では、旅客は中央席からも簡単に通路に出られるようになっていました(現在この動画は見られなくなっています)。
グラセイフ (Glassafe)
二つ目は、取り外し可能なシールドをを各座席に取り付けることで、機内でのウイルス対策を強化できるという グラセイフ (Glassafe) です。 グラセイフの長所は、現在の機体を維持したままシールドを取り付けられることです。このシールドはカスタマイズも可能で、肩の部分を切り抜いたり、使う材料を変えて透明度を変えたりすることができるため、各航空会社の自由度は高くなっています。

一見するとGlassafe (グラセイフ ) のほうが費用も抑えられ、使い勝手がいいようです。ただし、機内の備品を現存する座席に取り付けたり、反対に取り外したりすることは簡単ではありません。全席禁煙になっても座席の灰皿がすぐに取り除かれなかったように、変更をなかなか認められないなど規則が厳しいのです。
一方、Janus (ヤヌス) は一見快適そうなのですが、座ってみなくては分からない点もありそうです。それは、隣席の人と目が合ってしまうのではないか?という不安です。なので、どちらかを選ぶとしたら私は Glassafe (グラセイフ ) のほうがいいかな?と思います。
今後、旅客の安全を守るためのアイデアがどんどん出てくると思いますが、エコノミークラスにも今までは考えられなかった座席配置となるのかもしれません。でも、エコノミークラスでの後ろ向きの座席だけはちょっと・・・
後ろ向きの座席
後ろ向きの座席は、狭い客室内に効率よく座席を配置することができます。早い時期に、ブリティッシュエアウェイズがビジネスクラスに導入しました。最近では、カタール航空やANAが導入しています。後ろ向きに座っても、食事をしたり休んだりするといった航行中の快適性には何の問題もありません。
カタール航空
カタール航空のビジネスクラス・Qsuite (Qスィート) は、完全個室になるビジネスクラスとして人気の座席です。窓側にある後ろ向きの座席は、窓のすぐそばに設置されています。なので、窓からの景色を見ながら長時間過ごすには最高の座席です。
また、客室内の中央部にある座席は、前向きと後ろ向きが交互に設置されています。ドアを閉めて、座席間の仕切りを外す(4席合わせる)とボックスシートにもなります。

ブリティッシュエアウェイズ
イギリスの航空会社・ブリティッシュエアウェイズ(BA) でも、窓側の座席 と、客室の中央に位置する3列のうち真ん中の座席が後ろ向きになります。真ん中の座席は、リクライニングすれば、ある意味完全個室のような雰囲気を味わうことができそうです。
隣の座席とは電動のシールドがあります。しかし・・・
通路側には遮るものがないため、前向きの座席に座っている旅客と窓側(後ろ向き)の旅客とは目が合ってしまうのです。詳しくは、こちらをごらんください。
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ブリティッシュエアウェイズ・ビジネスクラス ~快適な座席と機内サービス~
BAの快適な座席を探してみました。
続きを見る
さいごに
テレビ番組で Janus (ヤヌス) が紹介されていた時、コメンテーターの皆さんが絶賛されていましたが、実際に座ってみると、いろんな問題があるかもしれません。Janus (ヤヌス) はエコノミークラスの座席なのですが、BAの経験上、どうしても視線のやり場に困ってしまうのではないかしら?と思ってしまいました。
個人的には3-3-3列の機内で真ん中を空けてくれれば快適なのに・・・と思いますが、飛行機によっては座席配列が違いますし、なによりも経営上難しいのでしょうね。まだ個人旅客が海外旅行できる時期ではありませんが、どんなアイデアが出てくるか楽しみです。
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