梅雨の時期、蒸し暑さはないのですが、なんだか体がスッキリしません。なので、この時期におすすめアロマ、爽やかさを感じられるミントについて考えてみました。
ミント
「ミント」と一口に言っても、その種類は1,000以上あり、品種認定されただけでも100種以上あるそうです。代表的な3種類は以下です。
- 和種ハッカ
- スペアミント
- ペパーミント
和種ハッカ (Japanesemint)
精油
- 学名:Mentha arvensis L
- 科名:シソ科
- 主成分:ℓ(-)MentholL(エル-メントール) 65~85%
- 主原産地:インド・北米・ブラジル・ヨーロッパ・日本
和種ハッカは、日本在来の多年草です。和種ハッカから蒸留・精製されたハッカ油は、北海道などのお土産でも販売されています。
和種ハッカは、ℓ-メントールという主成分がハッカ草の中で最も多く、常温放置でも(特に10℃以下)結晶化しやすい性質を持ちます。
また、西洋のミントより葉の色が濃く、鋭いスッキリ感のある香りが特徴です。
名前の由来
ハッカ200kgの葉から採れる精油はたった2%の4kgです。
なので葉から精油を採ると運ぶ時「荷が少なくて済む」、これが“薄荷(ハッカ)の名前の由来だそうです。
メントールクリスタル
メントールクリスタルは、和種ハッカやペパーミントなどに含まれる「ℓ-メントール」という成分だけを抽出した結晶のことです。「ハッカ脳」とも呼ばれます。
お土産として販売されている ハッカ油 の主成分は、このメントールクリスタル(ハッカ脳)です。
以前、中東のドバイに行ったとき、スパイスマーケットでメントールクリスタルを買いました。
ドバイでは、木製の噴霧器(茶色の木箱)の中に火をつけたチャコール(Charcoal:炭)を入れ、その上に直接メントールクリスタル(結晶)を乗せて、蓋をして煙らせるそうです。

使用時の注意事項は、目を閉じることです。目を閉じて木箱に鼻を近づけると、スーッとした爽やかな香りがしてきました。
スペアミント
精油
- 学名:Mentha spicanta
- 科名:シソ科
- 主成分:カルボン (約60%)、リモネン (約10%)
- 主原産地:アメリカ・モロッコ・インド
スペアミントは、比較的葉の表面が凸凹しています。
精油(水蒸気蒸留部位・根以外の全草)は甘くややグリーン調で清涼感のある香りがします。
主成分がカルボンなので、和種ハッカとは香りが異なります。
名前の由来
スペアミントの学名「Mentha(メンタ)」は、ギリシャ神話に登場する妖精の「メンテ―」から名付けられたと言われています。
「メンテ―」はとても美しく、冥界の王であるハデス(プルートー:地底を支配する冥界の王)は、その美しさに魅了されてしまいました。
それに気付いたハデスの妻であるペルセフォネは嫉妬に狂い、メンテ―を植物へ変えてしまいました。
以来この草は「ミント」と呼ばれるようになりました。ミントは今も陽光を浴びる度に芳香を放ち、人々に自分の居場所を知らせるそうです。
機内のミントティー
イギリスでは、胃や呼吸器の薬として用いられるようになり「ハーブティー」として飲まれるようになっていきます。
現代では、口腔ケアとしてスペアミントが使用されているほか、料理やお菓子、飲み物、入浴剤など幅広く利用されています。
エミレーツ航空など中東の航空会社の機内でもスペアミントを楽しむことができます。
ラム酒にミントを入れた「モヒート」というカクテルです。
「モヒート」には、スペアミントやこれに近い品種がよく利用されます。
スダチ・モヒート
ライムの代わりにスダチを使って、モヒートを作ってみました。
甘さを控えるため、お砂糖の代わりに、ハチミツを使うと、爽やかさが増した気がしました。
ペパーミント
詳細
- 学名:Mentha × piperita
- 科名:シソ科
- 主成分:ℓ(-)MentholL 30-50%・メントフラン
- 主原産地地:フランス・インド
ウォーターミントとスペアミントの交配種で、「ℓ-メントール」を主とするクールな香りを持つため、西洋ハッカとも呼ばれます。
「メントフラン」が入っていることで、和種ハッカ と区別されます。
スッキリとした爽快感のある香りをもつため、食品や日用品、化粧品に使われています。
ℓ-メントールの効果
和種ハッカやペパーミントの主成分である ℓ-メントール は、モノテルペンアルコール類 (芳香成分) に分類される芳香分子です。
芳香成分・分子の作用
・モノテルペンアルコール類:抗菌作用・抗ウィルス作用・抗真菌(カビ)作用・免疫調整作用・神経強壮作用・抗寄生虫作用
・ℓ-メントール:血管収縮作用・鎮痛作用・肝臓強壮作用・筋肉弛緩作用
(引用)NARD JAPAN ケモタイプ精油小辞典Vol.3,pp305-306
ℓ-メントール の特徴により、神経への作用の他、防虫・忌避効果、抗炎症作用、抗菌効果なども期待され使われています。
日本では昔から、ℓ-メントールを主成分とするハッカ油を、首筋に塗ったり入浴剤としてお風呂に入れたりして涼を取るために利用してきました。
しかし、ℓ-メントール自体が身体を冷やしているわけではありません。
冷却作用
L-メントール*1の冷感作用は神経に直接作用するもので、実際に温度が下がるわけではありません。
低温を感じる蛋白質(冷感受容体)にL-メントールを作用させると、温度を下げた時と同じ応答を示すのです。
さらに、「涼しく感じるけど、血流量は減らず、普段どおり汗はかくので体内に熱はこもらない」という面白い研究報告もあります。
和種ハッカやペパーミントに含まれる「ℓ-メントール」は清涼感を味わえる芳香成分で、梅雨や夏の時期に重宝します。しかし、使い方には注意が必要です。
注意事項
・妊娠中・授乳期・2才以下の乳児には用いない。
・てんかん症の人・発熱時・心臓疾患のある人には禁忌
・3才以上の幼児には、長時間・断続的・広範囲に多量の使用は避け、低濃度で注意をして使用する。
・高血圧症の人には、長時間・断続的・広範囲に多量の使用は避け、低濃度で注意をして使用する。
(引用)「NARD JAPAN ケモタイプ精油小辞典Vol.3,pp53-54」「スピリットとアロマテラピー pp98」
ペパーミントティー
話はそれますが、私は機内で食後にミントティー」を頼むことが多いのですが、最初に頼んだとき「Mint Tea」が通じませんでした。
今まであまり気にしていなかったのですが、ハーブティーでも細かく分類されています。
外資系エアラインの機内に搭載されているものは Peppermint (ペパーミント) が多いようです。
なので・・・

と言うと、理解してもらえました。
ペパーミント・ティーは、清涼感と爽快感の強いメントールの香りと独特の甘みが特徴です
ヨーロッパでは、その薬効の高さから生薬として使用されることが多く、上手に飲むと、胃腸の働きを助けたりデトックス効果をもたらすなどの効果が期待されています。
メントールクリスタルを使ってみる
いろいろ調べたあと、ドバイで買ってきたメントールクリスタル(ℓ-メントール)でスプレーを作ってみました。
キッチン周りの除菌・虫よけと、トイレの消臭効果をねらっています。
作り方
- ビーカーなどにメントールクリスタル(1、2カケ)を入れ、無水エタノール(5ml)を加えてよく溶かす。
- 「1」のハッカ液をガラスのスプレー容器に入れ、水(45ml)を加えてよく振る。
掃除や空気清浄に使う場合、精製水でなく、水道水で大丈夫です。
メントールクリスタルは、少量なら飲用可能なので食器についても大丈夫です。。
後日談
今回、メントールクリスタル10カケくらいを無水エタノール(量はメントールクリスタが浸るくらい)で溶かして、PCデスクのそばに置いておきました。
すると・・・
次の日、アルコール成分が飛んで、メントールクリスタルの塊になっていました。目を閉じて鼻に近づけると、香りはそのまま残っています。

同じく抗菌・虫よけ効果が期待できるアスナロの精油を1滴垂らすと、その部分だけ塊が融けてなくなってしまいました。
毎日1滴ずつ違った精油を垂らして、メントールクリスタルと他の精油のコラボを楽しむことができました。
夏休みの宿題(実験)のようで面白かったです。
さいごに
メントールクリスタルは、芳香成分が持つ効能や香りを楽しむものです。
体感的に涼しく感じても、体温が下がっているわけではないので、水を飲まなくていいというものではありません。
なので、水分や塩分の補給も意識しなが気分転換に役立ています。
また、抗菌・抗真菌の効果も期待できますので、チッキンにも置いてみました。
メントールクリスタル(はっか脳)は、この時期、いろいろ使える!と思ったのでした。
最後までご覧いただきありがとうございます。
*このページの内容は、Yuicaスペシャリスト+NARD-JAPANアドバイザーのアロマの知識を基にしています。芳香成分がもつ効果を保証する訳ではないことをご了承下さい。
*心身の状態がすぐれないときは、精油に頼ることなく、すみやかに医師の診断を受けるようにしてください。
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*1:ℓ-メントールと同じ意味です。引用元に従い「L-メントール」としました。