今回は、精油 ができるまでと、ANAの国際線・空港ラウンジの香りについてみてみました。
アロマ
アロマとは、植物が、虫や有害物質などの危険から身を守るために放出している芳香成分です。この成分を濃縮して集めたものが、精油として使われています。つまり、精油とは、植物(花・葉・枝・樹皮など)から抽出した物質で(ちょっとややこしいのですが)、精油は「アロマ」ともいわれることがあります。さらに、この精油を利用して行う健康管理や芳香療法をアロマテラピーと言います。
ANAとJALの空港ラウンジに取り入れられている香りは、ちょっと印象が違うようですが、どちらも懐かしさを感じる木の香りがします。
ANAオリジナル・アロマ
ANAショッピングA-styleより
ANAラウンジに入ると香ってくるのは、リラックスするというよりは、旅立つ前の爽快な気持ちを引き立ててくれるクールな香りです。その内容は、
- 和歌山県高野山の高野槇(こうやまき)
- 奈良県の吉野大峰山からは吉野檜(よしのひのき)
- ミント(海外産)
- ローズマリー(海外産)
- その他
合計12種類のオリジナル・ブレンドとなっていました。そのなかに、ちょっと珍しい「こうやまき」を見つけました。
高野槇(こうやまき)
世界遺産に登録されている、和歌山県の真言宗の総本山、高野山の周辺に多く生育している日本特産の常緑樹で、別名「本槇(ほんまき)」とも呼ばれています。
- 学名・科名:Sciadopitys verticillata コウヤマキ科
- 抽出部位:枝・葉
- 成分:α-ピネン、リモネン、ミルセン、β-カリオフィレン、セドロール、セドレンなど
アロマの期待される効能
こうやまき(以下、コウヤマキ)の香りは、好き嫌いの少ないウッディー系、森の香りです。主な成分を調べてみました。
成分 | 効能(作用) |
αピネン | 強壮作用 |
リモネン | 肝臓強壮・腎臓刺激・蠕動運動促進 |
セドロール | リンパ強壮・静脈強壮・うっ滞除去 |
セドレン | リンパ強壮、静脈強壮・うっ滞除去 |
出所:NARD JAPANナード・アロマテラピー協会・テキストより
精油の主成分にある「α-ピネン」には、強壮作用があるので、血行促進と合わせて肉体面の疲労回復を促す働きも期待できます。さらに、「αピネン」と「リモネン」は、モノテルペン炭化水素という芳香成分類に属し、どちらも抗ウィルスや抗菌作用があるとされています。
また、コウヤマキには、ヒノキと同様の森林効果があると言われています。森林効果とは、森林を歩くことで、元気すぎる人は落ち着きを取り戻し、元気がない人は気分を高めてくれる、つまり、体をニュートラルな状態にしてくれる効果です。
コウヤマキは、広い空間でほんのり香らせたり、他の精油と混ぜて使う際には問題がありません。しかし、自分で香りを再現してみよう!と思って調合する際には、注意事項も頭に入れておかなければいけない精油です。
ココに注意
- 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
- 高濃度での使用は皮膚を刺激する場合があるため肌の弱い方は使用に注意が必要です。
その他
海外産のミントやローズマリーは、効能が違う複数の種類があるので、特定できませんでしたが、香りから判断するに、スッキリさせる効果がより強くなるようにブレンドされているのではないかと思いました。

香りを体験できる場所
ANAオリジナル・アロマは、いろいろな場所でも体験できます。
チェックインカウンター:
- 羽田SUITE・羽田プレミアム(国内線)
- 成田SUITE(国際線)
空港内ANAラウンジ
- 14カ所(国内線)
- 羽田・成田・関西(国際線)
アロマカード配布(ファースト、ビジネスクラス)
機内サービスのおしぼり
化粧室内ハンドソープ(一部機材を除き、2017年10月中旬より順次導入。)
出所:https://www.ana.co.jp/ja/jp/serviceinfo/share/aroma/

機内持ち込み時の注意
国際線に乗るときの注意事項の一つに、機内へ持ち込むことができる「液体類」の制限があります。キャリアオイルや精油は液体類になので、機内に持ち込むときは100ml以下になるように注意します。

精油ができるまで
柑橘類の精油は、果実を圧縮して抽出することが多いのですが、マツやヒノキなど木の精油は、木部や枝、葉の部位に分けて、水蒸気蒸留にかけます。
水蒸気蒸留法とは、原料になる植物を入れた蒸留釜に水蒸気を通し、その植物の芳香成分が混じった蒸気を冷やして、精油を取り出す方法です。
ますは、間伐材などを大きな窯に入れて蒸します。
そして、蒸気を冷やします。
芳香分子は水よりも比重が軽く(なかには水より重いものもあります)水には溶けないものが多いため、「精油」と「精油成分を微量に含んだ水・ハーブウォーター」の2層に分けます。
そこから、精油だけを取り出したものが、100%精油として販売されるのです。これだけの木々から取れる精油は、ほんの数滴です。なので、精油はどうしても高価になってしまうのです。
さいごに
最近では、デパートや会社のエントランスでもオリジナルのアロマを香らせる場所も増えてきました。なんとなくいい香りには、様々な期待される効能が隠されています。精油は、同じ植物でも、生育地や気象条件、植物の状態などによって成分や香りが異なることもあります。
この記事を書く時、機内で頂いていたアロマカードを使ってみました。最初はウッディな香りが強いのですが、時間が経つにつれレモンに似た爽やかな香りが前にでてきて、頭がすっきりする感じです。元気になりながらリラックスできる香りのような気がしました。
*このページの内容は、大学での授業を基に構成しています。病気などに効果があることを保証する訳ではないことをご了承下さい。
ANAが就航している庄内地方のホテルで、オリジナルの香りを漂わせている場所がありました。
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