旅とアロマ

旅とアロマ

五感で楽しむ旅とアロマテラピー

秩父の森を歩く ~前半~

4月から日本薬科大学の漢方アロマコースに通っています。講義は、毎週日曜日です。今週は、東京大学秩父演習林でのフィールドワークでした。森林での講義を復習しながら、自分のアロマの知識を加えてまとめてみました。

f:id:monteverde-aroma:20180521152337j:image

アクセス

f:id:monteverde-aroma:20180521072512j:plain
集合は、西武鉄道・秩父線の終点駅、西武秩父駅。

西武秩父駅 :西武鉄道Webサイト

特急レッドアロー号や、有料座席指定列車のS-TRAINを利用すると、都心から2時間ほどで行くことができます。私は、池袋駅からS-TRAIN(500円)で行ったのですが、車内にはスマホを充電できるコンセントがありました。

f:id:monteverde-aroma:20180520211808j:plain

駅で出席確認後、大学が用意してくれたマイクロバス3台に乗り、一路、入川渓谷へ。1時間くらいのバスの旅です。

f:id:monteverde-aroma:20180520171634j:image

眼下に渓流を見ながら・・・

f:id:monteverde-aroma:20180520171710j:image

トイレ休憩は、道の駅大滝温泉。日帰り温泉もある道の駅です。この近くには、昔、パワースポット三峯(みつみね)神社へのロープウェイもあったようですが、現在はバスのみ。

個人で来たら、三峯神社にお参りして、入川渓谷を散策して、温泉に入って…という楽しみもあるようですね。今度、1泊2日で計画してみよう。

西武観光バス/市営町営バス川又線 時刻表

f:id:monteverde-aroma:20180520171752j:image

途中、滝沢ダムが見えてきました。秩父にある4つのダムの中では一番新しく、完成は2008年です。

東京ドームの約1.3倍分の堤体積(ダムを構成する材料の合計)があるコンクリートダムで、近くにあるループ橋の雷電廿六木橋(らいでんとどろきばし)とのコラボレーションが特徴です。

f:id:monteverde-aroma:20180520171845j:image

ダム湖の名前は、奥秩父もみじ湖です。紅葉の時期(10月中旬~11月末)は、ここから車で10分~15分のところにある紅葉の名所「中津峡」がおすすめです。ここまで、45分、車酔いしやすい私でも大丈夫でした。

 

百草

f:id:monteverde-aroma:20180520171812j:image

バスの中でもお薬の授業。百草の主成分は、ミカン科の落葉高木キハダの内皮「黄檗(オウバク)」です。下痢に効くそうです。

秩父百年の森

今回は、東京大学秩父演習林の入川渓谷沿い(標高700mくらい)、新緑が美しい中での講義です。入川渓谷は、奥秩父のそのまた奥、荒川の源流である赤沢出合を上流に位置しています。

始まりはオオモミジ

f:id:monteverde-aroma:20180520172036j:image

秩父は、カエデの宝庫!カエデの仲間は世界に129種あり、主に北半球に分布しています。日本には28種あり、そのうち21種もが秩父に分布しています。

これほど多くのカエデの種が自生している地域は稀で、秩父は貴重な生態系を持っているといえます。あれっ?最初に出会ったのはモミジ・・・。

実は、モミジとカエデは、語源が異なるだけで意味の違いはありません。どちらもカエデの仲間の総称です。 

 

モミジとカエデ

モミジは、秋に草木が黄色や赤い色をもみ出す「モミズル」という動詞が名詞化したものだそうです。特に、美しい色になるカエデ類を「モミジ」というようになったそうです。一方、カエデの語源は、葉の形から「カエルの手」と言われています。

オオモミジは、母種のイロハモミジとよく似ています。葉の縁が、細かい単鋸歯(たんじゅうし)で、葉が大きいことで区別します。葉は対生(一か所から2枚ずつ葉が出る意味)で、掌状(しょうじょう/指を開いた手のひらの形の意味)に7~9裂しています。

イワタケ

イワタケ*1は、日当たりの良い断崖絶壁の岩場に生えている地衣類(ちいるい)*2の一種です。

f:id:monteverde-aroma:20180521131641j:plain

見た目はワカメのような形をしており日が当たると乾燥しパリパリになってしまうということから雨が降った日など柔らかくなった時にのみイワタケを採取することができるそうです。

焼いて食べたり、三杯酢に浸けて食べると美味しい、食感を楽しむ大人な食べ物です。ハイキングの後、温泉に入って、イワタケをおつまみにビールで1杯・・・なんて考えていたのは私だけ?(笑)

次はミズメ(水目)

f:id:monteverde-aroma:20180520191831j:image

カバノキ科カバノキ属です。若木の頃の樹皮がサクラに似ていることから、ミズメザクラとも言われます。

JR東日本中央線の「アズサ〇号」が行きつく辺り、梓川の上流などの深山に育つ木で、別名「梓(アズサ)」とも呼ばれ、皇太子殿下浩宮様のお印になっています。

とても堅い木で割れにくいので、高級家具材としても貴重な木です。こんな立派な幹を見たのは初めてで興奮してしまいました。

この木は、アロマテラピスト&アスリート(笑)の私が大好きな木なのです。

f:id:monteverde-aroma:20180520225225j:plain

なぜか?というと、この木の皮☝が関係します。この皮の香りは、誰もが知っているサロンパスや、サロメチール、湿布薬の香りです。昔、山で働く人びとが水目の樹皮をはいで、疲れた部位に貼っていたそうです。

 

ミズメザクラ

水目(精油名:ミズメザクラ)の精油は主に樹皮から採れるので、太い幹は残して、枝葉だけを集めて水蒸気蒸留法で作られています。その成分は、サリチル酸メチル99〜100%という、きわめて稀な精油です。

なので、芳香というより、キャリアオイルに混ぜたアロマトリートメントに向いています。JR東日本のラグビー部選手のアフターケアにも使われている優れものです!

 

精油の注意事項

日本の森から生まれる精油がおすすめな理由の一つに、禁忌がないことが挙げられますが、唯一、このミズメザクラだけは、使用上の注意があるのです。

  1. アスピリンアレルギーのある人は決して使わないでください
  2. 目に入らないよう注意してください(失明の恐れがあります)

*精油は医薬品ではありませんので、自己管理・責任のもとにご使用ください。

精油を勉強して知ったことですが、「自然のもの≠無条件に安全」ということです。しかし、注意事項さえ守って安全・安心に使えば、体調管理の強い味方になります!これは、漢方も同じですね。

 

 

 

サンショウ

f:id:monteverde-aroma:20180521111218j:image

基原(源)*3は、ミカン科のサンショウ は、成熟した果皮から分離した種子をできるだけ除いたものです。ミカン科の木を好んで飛来するアゲハ蝶が産卵する木でもあります。この日も蝶がとまっていました。

薬効は、

  • お腹の中の冷えや痛み、間歇熱(間欠熱/かんけつねつ)を治す
  • 回虫を殺し、脾胃を温める

葉をこすると皆さんがおなじみの山椒の香りがします。ウナギを食べたくなる(笑)?

 

サンショウの精油

サンショウの精油は、果皮から抽出されています。その精油をブレンドしたエッセンシャルオイルでトリートメントすると、食欲増進や身体の引き締め効果も期待できます。

禁忌はありませんが、精油を使うときの注意事項は、その香りの強さ。ほんの1滴加えるだけで、ほぼサンショウの香りになってしまいます。

私は、先ほどのミズメザクラの精油とブレンドして、肩こりや筋肉痛のケアに使っています。結構香りが強いので、夜のケアにいいですね。

 

森を守る

日本は、世界第3位の森林面積を誇り、温帯林のなかで最も豊かな森林生態系を有しています。しかし、その大半は林業の衰退に伴って荒廃が進んでおり、保水効果が高いブナの森は減り、代わりに植林された杉やヒノキの手入れや、本来の姿である広葉樹林への再生も困難な状況にあります。

f:id:monteverde-aroma:20180520172327j:image

 

森林セラピー

大学院のクラスメイトが森林セラピーの研究をしていました。森林を歩くと体内のバランスが調整されたりストレスが減ったり・・・と、その効果は大きいと思うのですが、感覚によるものが多く、エビデンスの蓄積はこれからの課題です。

日本では、安全な水と同じく、豊かな森も生態系も、当たり前に存在していると思われているのでしょうね。森を守りながら、豊かな生活につなげる・・・、自分自身の永遠の課題だと感じながら、貴重な演習林での講義を受けました。

秩父産メイプルシロップ

秩父の森を守りながら、活動をされている女性のお話を伺いました。日本の森から生まれたメイプルシロップ。次回、秩父の森に行った時に立ち寄ってみたい場所です。

co-trip.jp 

入川渓谷沿いを歩く

f:id:monteverde-aroma:20180520172443j:image

講義の内容(お話)が興味深くて、なかなか前に進めません(笑)。また、お話も立ち止まって行うことになります。これは、渓谷沿いの狭い道を50人もの人が歩きながらの講義を受けるための安全配慮です。このような場所を歩く時の注意事項は、

  1. がけ崩れに注意: コロッと音がしたら上を見る癖をつける
  2. 渓流に近づきすぎない
  3. ブヨにも注意: 虫が目に入ったら、こすらず、虫が入っている部分の反対方向を見て、誰かにフッとふいて取ってもらう。 

楽しく森を歩くためには、心がけたいことも周囲に伝えていきたいですね。

カツラ

f:id:monteverde-aroma:20180520172532j:image

北海道から九州まで日本全国の山地に見られる落葉樹ですが、特に奥山の谷や沢沿いに多く見られます。新緑、黄葉の美しさ、左右対称の樹形から、日本の銘木として海外でも知られています。

個人的に大好きな木です。理由は、あま~い香りがするから(笑)。ハート形の葉が落ち葉の頃、綿菓子のようなキャラメルのような甘い匂いがしてきます。その香りはかなり強く、少し離れた場所にいてもカツラの木があることが分かるほどだそうです。残念ながら、この日はあまり感じることができませんでした。秋にもう一度!

ミズナラ

f:id:monteverde-aroma:20180521111615j:image

ブナ科コナラ属 の落葉高木です。材に水分が多く燃えにくいため、この名前が付いたそうです。稀にウイスキーの樽としても使われていると聞きました。

ミズナラの樽で作った日本産のウイスキーは入手が困難だとうかがったので、シーバスリーガルを買ってみました。生活に結びつけながら覚えると覚えやすいです(笑)。

 

 

メグスリノキ

f:id:monteverde-aroma:20180521111525j:image

メグスリノキは、日本だけに生息するカエデ科・カエデ属の落葉高木です。別名「長者の木」「千里眼の木」とも呼ばれます。樹皮を煎じて洗眼薬としたことが名前の由来です。ヒノキに挟まれるようにして生えていました。

樹皮に含まれるロドレノールという成分が、肝機能を改善させ、その結果、かすみ目や疲れ目が改善されるのではないか?というお話がありました。

また、このロドレノールには、メラニン生成抑制効果もあるとされ、美白化粧品にも使用されたこともあります。白斑の原因となってしまいましたが…。

Acer maximowiczianum

目薬の木とは - 植物図鑑 Weblio辞書

葉は、3枚の小葉が集まり、1つの葉を形成しています。同じ葉の形状に、ミツデカエデがあります。歯の裏に毛があるのが特徴です。紅葉が終わり頃、葉がピンク色に染まることで、見つける目印になるそうです。

 

ブームによる乱獲

メグスリの木は、一時期、ブームで乱獲されてしまったそうです。挿し木では育たず、雌木が見つからないと増えないそうです。森を守りながら恩恵を受けることの難しさを考えさせられました。 

森で見られる野草(5月)

森で見かける野草の中にも毒を持つものがあります。キノコのように「この色危ないでしょ!」オーラを出してくれているといいのですが・・・。しっかり勉強して、早く見分けられるようになりたいです。

フタリシズカ

f:id:monteverde-aroma:20180520172416j:image

静御前とその亡霊の舞姿にたとえられた、千両科の植物です。

マムシ草

f:id:monteverde-aroma:20180520172504j:image

森には危険も潜んでいます。これは☝サトイモ科・天南星(てんなんしょう)の毒草です。

ちょうどこの時期、花(先生が指でつかんでくださっている部分)が咲いていました。茎のところ(少し見えるかしら)のまだら模様が、マムシに似ていることからこの名前が付いているそうです。

ハシリドコロ

f:id:monteverde-aroma:20180521142306j:plain

ナス科の毒草です。ナスと同じ紫の花を咲かせます。

植物全体、特にその芽、葉にもスコポラミン、ヒヨスチアミンなどの副交感神経を麻痺させるアルカロイドが含まれ、誤食すると嘔吐、けいれん、昏睡、呼吸停止などの中毒症状が起きます。

フキノトウとハシリドコロ(東京都薬用植物園)

注意!

ハシリドコロの芽生えは、フキノトウに似ているので注意が必要です。見分け方は、フキノトウの苞には白い綿毛が密生していますが、ハシリドコロの芽には毛はほとんどありません。でも、良くわからないものは、絶対に食べません!

イラクサ

f:id:monteverde-aroma:20180521141255j:plain

イラクサ科の多年草で、毒はありません。一見、エゴマの葉に見えて、焼肉を思い出してしまったのですが・・・、葉に堅いトゲがあり、さわると皮膚に残りいつまでもチクチクして痛いそうです。さわらないでね。

エゴの木

http://www.forest-akita.jp/data/2017-jumoku/23-egonoki/ego.html

お花は下向きに咲きます。その姿から、イギリスでは「Snow Bell(スノーベル:雪の鐘)」と呼ばれています。果皮に10%ものエゴサポニン(毒)が含まれ、果実をかじると「エグ味」を感じることが名前の由来です。

そのエゴサポニンは、界面活性作用があるため、昔は、その果皮をすりつぶして石鹸としたこともあるそうです。エゴサポニンが川などに流れると、魚のえら呼吸を止めてしまうため、現在では使われていないそうです。

f:id:monteverde-aroma:20180521143655j:plain

落ちているお花からもあま~い香りがしました。

アオダモ(青梻)実験

f:id:monteverde-aroma:20180520193308j:image

モクセイ科トリネコ属の植物です。材質は堅く、粘りがあるため、野球の木製バットの原料として知られています。このアオダモを使った実験がありました。折った枝を水に浸けると・・・

f:id:monteverde-aroma:20180520172750j:image

大量に含まれる蛍光物質のクマリン類が水に溶けだして、太陽光が当たると水が強い青色になりました。

f:id:monteverde-aroma:20180520193653j:image

本当に美しい蛍光ブルーになりました。

アオダモ樹皮を刻んで乾燥させたものを生薬名「泰皮(しんぴ)」と言い、感染性の下痢や解熱に効果があるとされています。

折り返し

f:id:monteverde-aroma:20180521152226j:image

折り返し地点に、トロッコ軌道がの終点がありました。このトロッコ軌道は、約5kmにわたって、入川渓谷沿いに伐採木や木炭運搬用に敷かれていた軽便鉄道の名残です。

興味深いお話が多く、時間がもっとあればいいなぁ、と思った講義。折り返した後も、楽しい講義が続きました。その様子はまた後日に。

 

 

*講義の内容はしっかりメモを取り、間違いがないよう確かめましたが、もし間違いがある時は筆者の責任です。その場合は、即訂正します。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

*1:地方によってクロッコ、イワダケ、ウシビタイ、ナベタケ、ロウジ、クロドンビンと呼ばれます。

*2:菌類の仲間で、必ず藻類と共生しているという特徴をもちます。

*3:生薬のもととなる動植鉱物とその用部、および加工方法を表すもの